お試しにも程がある 152
「あれ、拓海さんは確かテイマーじゃないんですか?
武道大会のポスターでは前回優勝者ってありましたよね。」
「え、そんなこと載ってんの?」
マークツーの言葉に、驚く俺。
「はい。
ポスターは前回の優勝者載せてますよ。
みさとさんも載ってましたし。
今回も出るのですか?」
「いや、今回は出ないよ。」
またこの話か、全国的にポスター貼ってあるんだな。
「拓海さんがテイマー?
あー、その子が活躍したんだね。
そういう事か。」
クレスタは、ひとりで納得。
「それより、実演販売のやり方だろ?
クレスタ、前回と同じセットでお願い。」
「そうですね、直ぐ用意しますよ。」
「すげー、拓海さん凄いよ、やるなぁ。
これを、俺にやれって言うんだろ?面白そう!」
「本番は武道大会の日だけど、予定は入ってないの?」
「ないない、こっちやりたい!
あれだけ切れたら皆釘付けだよ。
まさか俎板切れるとは思わなかったし。」
クレスタは一応予定聞いたが、チェイサーはノリノリだった。
マークツーの方を見たが、やれやれという感じ。
「大丈夫ですよ、町おこしは武道大会と重ならない日程を皆さん希望されてますから。」
「それってさ、町おこしの会場でも実演販売できるんじゃないの?」
みさとの何気ない一言に、皆一斉に振り向く。
「ありだな、それ。
俺なら全国で売れるぞ!」
「特産品じゃないけど、良いの?」
「特別参加ってことにすればいいんじゃないか?マークツー。」
3人で相談、いよいよ大量生産必要になるな。
頑張れ、デックス・ルクラ。
「じゃあ、衣装とかは皆で相談してね。
スッキリしたから、俺帰るけどいいかな?」
「はい、拓海さん・みさとさん、提案ありがとう!
帰りはうちの魔道士に送らせますよ。」
「拓海さん、俺、売ってみせるよ!」
「ご享受ありがとうございました。」
3人からの挨拶を受けて、俺達は帰宅する。
家に着いたら、もう出る気がなくなった。
「大変な1日だったね。」
「ホントだね、たっくんお疲れ様。
お夕飯は…お腹空いてる?」
「僕入るよ!」
「俺も少し欲しいな。
でも、みさとも休んでからでいいんじゃない?」
「何が作れるか冷蔵庫見てから考えるよ。
お茶も入れとくね。」
「お湯は俺用意するよ。」
結局2人でキッチンに向かう。
「こういう時にさ、インスタントラーメンあったら便利なのにね。
たっくんも好きなのあるじゃん。」
「あぁ、帰った時に持ってくればよかったか。
すっかり忘れてたよ。
今から帰って持ってくる?」
「え、そんなお気軽に出来るの?」
「やってみればいいじゃん。
シビックも買い物行く?」
「行く行く!」
「じゃあ行くか。」
車庫に車を出し、皆で乗って透明化の魔法をかける。
前回の転移の際に、確かかけてたはず。
魔法発動。
気付いた時には、自宅マンションの駐車場。
透明化を解いて、そのままスーパーへ行く。
「来られたね。」
「良かった。
時間軸で言うと、同じ日に2回買い物になるのかな?」
「おそらくそうなるねぇ。
どうしたの?みさと。」
「折角来たからさ、お財布のお札を入金した方がいいかなって思ったの。」
「あー、成程。
それは明日するか。
前回みたいに、買うもの買って入金して帰るパターンかな。」
「毎日来るって、変なお客さんだよね、きっと。」
「店的には買ってもらえれば気にしないんじゃない?
別の店でもいいよ。」
「それはそれで面倒くさそうです、ごめんなさい。」
「じゃあ、夜は夜景観に行くか。」
「「賛成!」」




