お試しにも程がある 147
「パンはさっきの大きさのものでいいかな。
ボンゴさん食べやすそうだったし。」
「そうだね、あの大きさは良さそうだよ。
父ちゃん夢中で食べてたし。」
「じゃあ、お魚はそのサイズにしましょうか。」
みさとはリュックからパンを取出し、ミレーニアは魚を持ってきた。
比べてみると、半身にするとはみ出て美味しそうかも。
「ミレーニアさん、ちょっと贅沢に、半身をフライにしちゃおう。
食べ応えあるよ。
捌くのお願いして良い?」
「任せな。
早速包丁使わせてもらうよ。」
頭を切り落とすところから始めるミレーニア。
いつもなら骨があるので力を入れるが、それ程力を入れ無くても切れてしまった。
「あれ、切れた。
骨あるよね、この魚。」
切れた魚の頭を覗き込むが、いつもと同じ。
気を取り直し、切り進める。
が、骨も切れてしまい、いつもと調子が違う。
「切れすぎるのも良し悪しかねぇ。」
半身を見てみると、骨が少しずつ付いている。
その部分だけそぎ切りして、特に影響なし。 残りも同じように、今度は慎重に骨を切らないようにした。
皮は剥いで食べやすくする。
ミレーニアが魚を捌いている間に、みさとはタルタルソースの準備。
卵を大量に茹で、玉葱の微塵切りとアクセントに紅生姜も刻んで、塩胡椒・マヨネーズ・マスタードで味付け。
こういうときピクルス欲しいよね。
後で試してみようかなと思う。
クレスタは味見をして、うんうんと頷きつつメモを取る。
魚に小麦粉・卵・パン粉をまぶして、揚げる準備完了。
フライパン(巨人族用なので大きい!)に、半分位の量で油を入れる。
いい温度になってから、静かに投入。
揚げてる間に、みさとはサバサンドも美味しいことを思い出した。
「ミレーニアさん、鯖の干物あるかな?
サンドイッチにして美味しいこと思い出したから、そっちも試したい!」
「あぁ、確かその辺にある筈だから、見てみておくれ。」
揚げ油から離れられないミレーニアの代わりに、みさとが探しに行く。
「あった!
これも焼くけど良い?」
「美味しいんだろ?どんどん試そうじゃないか。」
今度はコッペパンのような形のパンを出す。
焼いた鯖の半分で丁度いい大きさ。
3枚あったので、全て焼き始める。
こちらには玉葱とトマトのスライスを入れ、追加で塩胡椒・レモンを絞る。
出来たものを持っていくと、ボンゴの皿は既に空だった。
「父ちゃん、もう食べたのかい?
次の味見できるかねぇ?」
「美味かったから止まらなかったよ。
そっちも美味そうだな。
任せろ、まだ腹に余裕はある。」
ボンゴの皿には、それぞれ1つずつ載せた。
サバサンドはそれぞれの皿に置いたが、鱈と鮭のサンドイッチは大きいので、ミレーニアが切り分けてくれた。
「ちょっと小さいけど、持ちやすくなったろう?
皆で試そうじゃないか。」
「「いただきまーす!」」
一斉に食べ始める。
ボンゴは、鱈のサンドイッチから。
「魚美味いな、肉も良かったけどどっちも美味い。
この白いソースがまたいいね。」
ミレーニアは、鮭から食べ始める。
「ほんとだねぇ、魚に合うソースだ。
私も色々試してみようかねぇ。」
クレスタは、サバサンドからにする。
「何これ、さっぱりなのに鯖は脂が乗っていて美味しい。
パンでも合うなんて、凄いな。」
俺とみさとは、鱈と鮭それぞれ取り、残りをシビックに渡す。
「うん、やっぱり美味しい。」
「魚が美味しいからもあるよね。
こっちに来ないと、食べられないかなぁ。」
シビックは両方食べつつ、サバサンドも確保。
「そういえば、サンドイッチも具沢山なのに綺麗に切れてるね。
良かった。」
みさとに言われて、はっと気付くクレスタ。
断面はとても綺麗だ。
「ミレーニアさん、使い心地どうでした?」
「それがさぁ、切れ過ぎて骨までスッと入っちまうんだよ。
修正は効くからいいんだけどね。
あと、全然力要らないね。
ほんとに俎板まで切らないように気を付けないと。」
「近所の奥様達にもお勧めできそう?」
「勿論だよ、みさと。
見せびらかしたいくらいさ。
でも、気長に待ってるからね、クレスタ。」




