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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 145

 「いやー助かったよ、拓海。

 無事分けられたし、悪くならないうちに商品に出来そうだ。」

 やっと皆から解放されて、包丁も戻ってきたようだ。

 「試してくれてありがとう、ボンゴ。

 役に立って良かった。」

 「スゲェなコイツ、皆買いたいって言ってたぞ。

 クレスタ、宜しくな。

 それと…」

 ん?どうしたボンゴ、言いにくそうだ。

 「この包丁で、もっと大きなもの出来ねぇかな?

 折れちまった鋸包丁が欲しいんだが、どうせならこれくらい切れるやつがいいと、皆に言われてな。

 どうだい?」

 「製作者に聞いてみないとわからないな。

 因みに、折れた包丁はどれくらいの大きさなの?」

 「そうだよな、ちょっと待っててくれ。」

 走り去ったボンゴは仲間に話しかけ、肩をバンバン叩かれてから折れた包丁を持ってきてくれた。

 「聞いたらよ、これを治すと強度が弱いから、新しいの欲しいってことで意見一致した。

 見本でこの包丁は持って行って良いと許可貰ったぞ。」

 「ありがとう、ボンゴ。

 これはもう、発注だね。

 優先順位高いかな?さっきの包丁とどっち先にする?」

 「あればありがたいが、そうそう大物取れねぇんだよ。

 普通の包丁先で良いかな。」

 「了解。

 作ってくれるドワーフの職人に伝えとくよ。」

 さらっと言った俺に、驚くボンゴ。

 「ドワーフ?ドワーフが包丁作ってくれんのか?

 武器専門だと思ってたぞ。」

 「今唆してるとこだよ。

 こんな切れ味の良いの、普段から使えたら売れると思わない?」

 「間違いねぇ。

 多分、山で仕事してる奴らも斧とか鋸とか欲しいんじゃねぇかな。」

 「え、そんな販売ルート持ってるの?ボンゴ。

 凄いね。」

 思わず出た俺の言葉に、ボンゴが応える。

 「俺の親戚によ、山暮らししてるやつ居てさ、木こりやってんだよ。

 偶に来るけど、木を切るの大変だって言ってたからさ。

 ほら、あの辺りの山には結構いるらしいぞ。」

 ボンゴが指差した先は、青々とした山が見える。

 「巨人族でも大変なんだな。

 力があって楽勝なのかと思ったよ。」

 「いやぁ、普通だよ。

 仕事は疲れるだろ。」

 「そりゃそうだ。」

 あっはっはと笑い合う。

 「斧や鋸も伝えとくね。

 ただ、いつになるかは分からないから、分かり次第連絡するよ、クレスタが。」

 いきなり呼ばれて驚くクレスタ。

 「え、何?

 まだ値段も決まってないのに、勝手に受注出来ないでしょ。

 きっとびっくりするよ、デックスさん達。」 

 「そうだな、言われてみれば、自分達より大きなもの作るんだもんな。

 出来るかも含めて聞くでもいいかな?ボンゴ。」

 「あぁ勿論だ、出来ると良いなぁ。

 ところでクレスタ、干物は明日じゃなかったのか?」

 「ありがとうボンゴさん。

 それは明日改めてくるから、宜しくお願いしますね。

 今日は包丁の調査に来ただけなんだよ。

 売れそうでよかった。

 みさとさんの見立て通りだったね。」

 クレスタの言葉に、思わずVサインのみさと。

 「ボンゴさん、そろそろお家に帰る?

 お土産渡したいんだ。」

 「おぅみさと、寄ってけ寄ってけ。

 かぁちゃんも喜ぶぞ。」

 みさとはどこに行っても素直に入り込める。

 特殊技能かと思うくらい普通にやってのける。

 逆に俺は、みさとが連れて行かれないか心配だ。

 ボンゴは自分の分を担いで持って帰り、包丁は一時みさと預かりになった。

 2人で話しながら家に向かい、その後ろを俺とクレスタで付いていく。

 「ねぇ拓海さん、みさとさんは商売向きだと思うんだけど、駄目かな?」

 「そこは本人に聞いてよ。

 やりたいなら止めないけど。」

 「ふぅ、いつも拓海さんがベッタリだからな、しょうがないか。」

 「俺のせいみたいに言うなよ。

 み、みさとの自由だからな。

 その代わり、無理強いはするなよ。」

 「はいはい、わかってますよ。

 絶対断られるってね。

 さっきも聞いたのさ、サンドイッチ屋やらない?って。

 普通に断られたよ。

 見た目に反して、意志固いよね。」

 クレスタの話を聞いて、ちょっとドヤ顔になってたらしい俺。

 「拓海さんは褒めてない、みさとさん褒めたんだよ。」

 「俺は、みさとが褒められるのも嬉しいからいいの。」

 


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