お試しにも程がある 143
「さぁ、今のうちにボンゴさん用のお土産作りましょうか。」
拓海がデックス・ルクラを送りに行ったあと、私は早速行動に移った。
「ボンゴさんにお土産?何作るんですか?」
クレスタの問いに、キッチンに戻りつつ応える。
「折角とんかつ作ったし、かつサンド作ります。」
「かつサンドって、さっきも作ってましたよね?」
「それは、デックスさん達にお土産で渡しました。
ボンゴさんサイズで作らないとね。」
「成程、大きめサイズってことですね。」
リュックから、大きいパンを取出す。
「じゃーん!この大きさなら、食べた感じするでしょ。
これを半分に切って、キャベツ敷いて、とんかつ載せるっと。」
大きめのパンを、大きめ包丁でハンバーガーのバンズのように上下に切る。
キャベツの千切りを敷いてから、丸ごとのとんかつを4枚載せる。
そこにソース・マスタード・マヨネーズもかけて、切ってあったパンの上の部分を載せる。
「大きいですね。
切らないと食べづらそうですが、ボンゴさん達なら手に持って丁度いい大きさかも。」
クレスタの感想に、私はうんうんと頷く。
「ですよね!
パンはまだあるので、もう少し作りましょうか。」
私の顔より大きい丸いパンなので、どうやって包んでいくかは後で考えよう。
同じ大きさのパンを4つ出して、同じように作っていく。
チキンカツも使おうかな。
「あ、デックスさん達用のはもう一組あるので、後でお店の担当さん達と食べてくださいね、クレスタさん。」
「え、いいんですか?
僕達にまで用意されてたなんて。」
「だって、材料はクレスタさん持ちじゃないですか。
いっぱい作ったし、メンチカツサンドやコロッケサンド・唐揚げサンドも美味しいし。
色んなものにできる可能性を感じていただければと。」
中身が既にできているので、流れ作業のように手は動かしながらおしゃべりをする。
「たまごサンドやハムチーズサンドも美味しいですよね。
街中のお店でもサンドイッチのお店ありましたが、そこにはない中身ならまた商品として出せるかなぁなんてね。」
どんどん出来ていくサンドイッチ。
「パンを変えてみるのもありですよね。
ここには食パンないからなぁ、どうしたものやら。」
考えながら作っていたら、いつの間にやら全て終わっていた。
大きなパンが、結果8つのサンドイッチになっていた。
「みさとさん、作業速いですね。
うちでサンドイッチ屋やりますか?」
半ば呆れ顔で聞いてきたクレスタに、私はいつも通りお断りする。
「いえいえ、やらないですよ。
作業に夢中になりすぎましたかね、あはは。」
さて、これを包めるような紙はあるかしら。
ラップ無いし、直接リュックに入れるか?
チーズを包む紙が、大きいものあったかも。
リュックから取出し、包み始める。
「このサイズのパンも楽々切れるなんて、良いですね、この包丁。」
「本当ですね。
サクサク切れましたしね。
お魚捌くのも楽にできそう。」
「最近は、2日に1回のペースで、ボンゴさんのところに商品仕入れに行ってますよ。
興味あるといいな。」
「お魚美味しいですもんね。
魚のフライも、サンドにしたら美味しいですよ。」
「料理出来る状態の魚を、こっちに持ってくるのが一番大変なんですよね。
今までに無い商品だから、味を知ってもらえば売れると思うんですけどね。」
「切り身にして、冷蔵庫入れて持ってくるくらいかな。
毎日仕入れないとだけど。」
「ですよね。
傷んだり臭みが出ると商品にならないし。」
2人で考えているうちに、転移で戻ってきた人が居た。
「お待たせ、戻ったよ。
ボンゴのとこに行く?」




