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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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141/335

お試しにも程がある 141

 「え、巨人族に包丁売りに行くの?

 需要があるなら良いけど、何を根拠に?」

 驚きを隠せないクレスタが、戸惑いつつも商人として真っ当なことを聞いた。

 まぁそう思うよね。

 「そうだなぁ。

 仕事で魚を捌くのにも使うだろうし、料理もするし、使わないことはないと思う。

 実際にみさとは、ボンゴの奥さんと料理してるしね。

 その時に見た包丁と似た大きさなんだろ、みさと。」

 俺の問いかけに、ちょっと首を傾げつつ応えるみさと。

 「そうだね、使わせてもらった包丁が似たような大きさだった気がする。

 気の所為だったらごめんね。」

 「そっか、ありがとう。

 後で行ってみようか。」

 「行く行く!

 僕も連れてってね。」

 気軽にみさとにした提案を、クレスタが速攻乗ってきた。

 「お、おぅ、一緒に行こうか。

 今日じゃないよ?まだやることあるでしょ?」

 「まぁそうですが、覚えているうちに今日行こうよ。」

 グイグイ来るなぁ。

 「じゃあ、先ずはデックス達を送ってくるよ。

 他に言っとくことないの?」

 直ぐ様クレスタはデックスの方を向き、仕事の顔になる。

 「デックスさん・ルクラさん、凄くいい感じにできてます。

 サイズ感もぴったりです。

 普通サイズと大きめサイズ、両方売れます。

 売りたいので量産宜しくお願いします。

 あと、うちの魔道士もデックスさんのところに転移させてもいいでしょうか?

 毎回拓海さんに頼るわけにいかなくて。

 如何でしょうか?」

 あまりの変わりように、驚くデックスとルクラ。

 「量産も転移もどんと来いだ。

 ただ、安売りするつもりはないからな、早くて出来の悪いものは出せねぇ。」

 「そうだな。

 軌道に乗るまでは、1日に何本出来るやらってとこだな。

 腕の良くない奴は仕事渡せねぇしな。」

 デックスとルクラで、うんうんとお互いに同意する。

 同じ方向向けてる、良い仲間だ。

 「乗り物に包丁に冷蔵庫に鍋。

 考えた商品はまだまだあるけど、確実に1つずつ認知度を高めていかないとね。

 お二人は、作業もそうですが値段や商品名、作業を共にする仲間を増やすこともお願いしますね。」

 流石クレスタ、大事なところは忘れてない。

 「それと、一度販売してからでもいいんですが、うちの店でも使いたいので、10本位買わせて下さい。」

 しっかり、確保もする。

 「そういえば、ルクラさんとこの奥様にも、試しに使って貰えば良いんじゃないかな?

 包丁もそうだけど、鍋とか冷蔵庫とか。

 普段使う方の意見てすごく大事だし。

 改良点も、使ってみないと分からないでしょう。」

 クレスタの言葉に、ルクラは驚く。

 「え、良いのか?

 うちの嫁さんに使わせても。」

 「勿論ですよ。

 内緒にするのは必要ですが、試して貰わないと使用感分からないでしょう?

 デックスさんとルクラさんで使ってみても良いですけど、他との違いが分からないと、こんなもんかになっちゃいますよ。

 その点、奥様なら使い慣れてるでしょうし。」

 「それでいいなら、試してもらうよ。

 嫁さんにも話したらまずいかなと思って、伝えてもいないからな。

 絶対内緒にするよ。

 冷蔵庫って、この間出してもらった奴だろ?

 内側に冷えやすい効果を持たせた金属板入れたいって言ってた。」

 「それですそれです。

 僕としては、数が見込めるなら改良版として売り出す予定です。

 期待してますよ。」

 ホクホク顔のクレスタだが、ルクラは困った顔をしている。

 「使わせたいのは山々だが、あんなデカいものをこっそり運べったってなぁ。

 三輪型の荷台にも入らんぞ。」

 「そりゃそうだ。

 あのサイズだと、荷車引いて行くくらいだな。」

 ルクラとデックスで顔を見合わせ、以前出してもらった冷蔵庫のサイズについて話し合う。

 「なら、俺が運ぼうか?

 わからないように出来るよ。」

 俺なら、ウエストポーチに入れて持ち運べる。

 「出来るのか?是非頼むよ。

 商品になったら嫁さんに買ってあげたかったんだ。」


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