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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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140/335

お試しにも程がある 140

 「ここはどこだ?拓海。」

 「え、クレスタの家だよ。」

 「てことは、国を出たのか?」

 「そうだね。」

 「今の魔法か?」

 「そうだよ。

 帰りも送ってくから心配しないで。」

 デックスの質問に、丁寧に答える俺。

 「昼ご飯食べに行くよって言ったじゃん。

 さ、食べようよ。」

 「待て待て待て、飯とは聞いたが何処に行くとは聞いてねぇぞ。」

 「そんな細かいことは置いといて、昼ご飯、食べるでしょ?

 早くしないと冷めるぞ。」

 開いた口が塞がらないデックス。

 そんなやり取りを見て、笑い出すルクラ。

 「あっはっは、拓海の言う通りだ。

 美味いうちに食べないと、昼飯に失礼だぞ。

 ご馳走になろうぜ。」

 釈然としない顔のデックスは、ルクラに背中を押され、席に着く。

 ドワーフからすると、全体的に少しずつ大きめの作りのものばかり。

 少し高めだか座れなくはない椅子に腰を掛け、周りをしげしげと眺める2人。

 その間にも、みさととクレスタで色々並べ準備完了。

 漂ってきた美味しそうな香りに、お腹が空いていたことを気付かされた。

 「美味そうだな。

 見たことないものばかりだが、良い香りだ。」

 「本当だな、デックス。

 頑張った甲斐があったんじゃないか。」

 「べ、別に刃物だから直ぐ取り掛かったわけじゃねぇよ。

 依頼は1つずつ熟して行かないとな。

 試しでもあるし。」

 うんうんとひとりで頷くデックス。

 その様子を見て、クレスタは笑顔で応える。

 「ありがとうございます、デックスさん。

 凄く助かります。

 ルクラさんの仕上げも期待を裏切らないでしょうから、試すのが楽しみですよ。

 なので、その前に食事にしましょう。」

 そのタイミングで、デックスの腹の虫が返事をした。

 「あぁ、頂こうか。

 宜しく頼む。」

 やっと、和やかに試食兼昼食が始まった。


 楽しく食事が終わってから、早速試作の大きめ包丁を試すことになった。

 クレスタは豚丸ごと1頭分の肉を用意して、大まかに切り分けてみる。

 後で使うことを考慮した上での切り方だ。

 あまり力が強くないクレスタでも、そんなに苦労した感じがしない。

 「あれ?こんなに簡単なんだっけ?

 凄く切りやすいね、この包丁。

 是非商品として売って下さい!

 予備も欲しいから複数欲しいな。

 でも、この大きさだと受注生産になるのかな。」

 両手で持つクレスタを見ると、確かに剣に見えなくも無い。

 「ボンゴさんとこの包丁と同じくらいかなぁ。

 向こうなら通常サイズじゃない?」

 ふとみさとが、見た目で思い出したのか何気なく呟いた。

 「そうか、巨人族なら通常サイズか。

 クレスタ、売りに行ってみるか?」

 

 

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