お試しにも程がある 131
「へぇ、座れるタイプもあるのか。
奥様方の買い物行くには、この方が良いかもね。」
「流石クレスタ、商売人目線。
こっちも乗ってみる?」
「乗る乗る!」
どうやらクレスタも楽しくなってきたようだ。
レジアスは勝手に走り回ってるし、リミッター解除したようで更に速度を出していた。
「クレスタ、あのスピードは出ないからね、普通。
速度上限あって出ないようになってるから、危なくないように。」
「流石レジアス様、お見事。」
「いや、もうちょっと大人しく乗ろうよ、レジアス。」
丁度こちらに戻ってきたレジアスに、声をかけた。
「いやいやいや、本当に面白いのぅ。
拓海、おぬしが車に乗って楽しむ気持ちが分かるぞ。」
「そりゃ良かったよ。
向こうではやらないでね。
魔法でリミット解除出来るって知ったら、皆真似するでしょ。
スピード出るって危ないんだから。
いくらぶつかる前に止まるようになっているからって、想定より速かったら対応できない場合もあるんだよ。」
「成程な、理解した。遊びたい時はこちらにお邪魔するとしよう。
街中では通常速度じゃな。」
うんうんと大きく頷く俺。
「ある程度の速度以上は止まるようにした方が良いのか?拓海。」
ルーン文字での加工担当のルクラが声をかけてきた。
「そんなことも出来るの?」
「やりようはあると思うぞ。
俺達が売ったもので多くの者がけがをするのは避けたいからな。」
「凄いね、ルクラ。
レジアスみたいに魔法使える人多くないと思うけど、万が一があるといけないから、お願いしたいな。」
「任せろ、安全第一だ。」
何とも頼もしい。
「ねぇ、本当に廃れる一方なの?そんなに便利なのに。」
不思議に思った俺の一言に、デックスが答えた。
「元々な、武器に魔法付与する使い方なんだ。
争いが無くなってから、武器を作るのも段々減ってきててな。
だから、廃れるって言われてるのさ。」
「ふーん。
今回みたいに、生活用品に付与して便利に使えばいいのにね。」
「金属にしかしないから、使い道無いと思われてんだよ。
だから、今回の作品も金属だろ?」
言われてみれば、そのとおり。
他の材料も使われているけど、多くが金属。
「強度の関係かと思ったけど、そうでもないんだ。」
「なら、冷めにくいお鍋とかあったら売れるかもね。
切れ味の落ちない包丁とかも嬉しいかな。」
みさとの一言に、デックス・ルクラは振り返る。
「成程な、金属だ。」
「それ出来たら、嫁さんも喜ぶかも。」
更にアイデアが出てきたようだ。
「みさと、その案貰って良いか。
他にも出来る物あるかも知れんから、欲しい物教えてくれ!」




