お試しにも程がある 129
「これでどうだ!
良い感じだろ。」
デックスとルクラは試行錯誤を重ね、俺とレジアスの意見も取り入れ、何回も作り直した。
最終的に2パターン作成。
立ち乗りタイプの二輪型と、座る座面もつけた三輪型だ。
立ち乗りタイプは、キックスクーターみたいな形。
小回りが利いて、幅を取らないのも特徴。
座面ありタイプは、スクーターの後輪が2つある形。
座面の下は、物を入れられる。
どちらも速度制限かかるようにして、車輪部分が他に当たりそうになると、反発して当たらないようにしてある。
鍵にあたる魔石の部分は共通にして、無くさないように腕輪とチェーンで繋げられるようになっている。
ドワーフの標準サイズで乗りやすくした。
デックスとルクラで試運転後、俺・みさと・レジアスでも、試し乗りした。
玩具みたいで面白く、みさともレジアスも気に入ったようだ。
「良いねこれ、めっちゃ楽しい!」
「これは良いのぅ。
私も買って帰るぞ。
仕事行くときにも、楽になりそうじゃ。」
「レジアスは転移すればいいじゃん。」
「移動も楽しむもんじゃろう?
拓海は何故車に乗るんじゃ?」
「うぐ、その通りだけど。
レジアスがそれ乗ってたら、流行るかもね。」
「最先端じゃからな。」
楽しそうな会話を聞いて、デックスが申し出る。
「人種族サイズに作るから、少し待っててくれ。」
「そうだな、販売できる所用に仕様変更しないとな。
1番大きいレジアスサイズで作っても、みさとが使えれば汎用性ありで良いんじゃないかな。」
ルクラも売る気満々である。
お言葉に甘えて、俺達サイズのものを作ってもらう。
3人とも立ち乗りタイプ希望、それぞれ魔石も入れてもらった。
「ありがとう、デックス・ルクラ。
約束通り、有難くいただきます。
余った魔石は、売行き伸びるまで中に入れて使ってね。
軌道に乗ったら、買うで良いんじゃない?」
「寧ろさぁ、魔石有り無しで売れば、魔石無しでも売れるかもよ?」
「それはあるかも知れんな。
所で、私も貰って良いのか?
買うつもりじゃったんじゃが。」
みさとの案を肯定しつつ、レジアスは戸惑いを隠せない。
「何言ってんだ、もう製作陣に入ってるだろ、レジアス。
色々意見貰って助かったぜ。」
「そうだよ、ありがとな。
向こうで乗って、宣伝してくれよ。」
デックス・ルクラ・レジアスで握手をする。
「それは任されよう。
だが、欲しいと言われた時はどうすれば良いんじゃ?」
「俺とレジアスはここまで転移出来るけど、デックス達はどうだい?」
考え込むデックス。
「ドワーフ領内しか考えてなかったからな。
どうしたものか。」
「おいデックス、俺達で売りに行けば良いんじゃないか?
完全受注制にして、見聞を広めに出歩こうじゃないか。」
「ルクラ、よく考えろ。
作る暇なくなるぞ。」
今度は2人で考え込む。
「ここに転移してきてよければ、販売口になってくれる人探してこようか。
その人がこれ気に入ったらだけど。」




