お試しにも程がある 127
「みさとの料理だからだよ。」
自慢気に答える俺。
「間違いではないが、なぜお主が自慢顔なのじゃ。
みさとから言われたいわぃ。」
そんな俺達のやり取りを見て、みさとは苦笑い。
シビックは構わず食べている。
みさとの料理と聞いたデックスとルクラは、言わずにはいられなかったようだ。
「みさと、凄いな。
こんなに美味い料理もできて、あんなに強いなんて。
びっくりだ。」
「本当、こんな美味いのは初めてだ。
俺でも作れるかな。
教えてもらえるかい?嫁さんにも食べさせたいんだ。」
2人からの賛辞を素直に受け止め、赤くなるみさと。
「あ、ありがとうございます。
作り方は教えられますよ。
最初のカレー粉は出来上がりと材料と両方渡しますね。
後から市場で仕入れられると思いますよ。」
こんな所でカレーが役立つとは。
美味しいは共通なのかな。
ワイワイしながら時間は過ぎ、鍋も空になった頃、やっと仕事の話になってきた。
「乗り物は同じ仕組みで、入れる魔石を替えるだけで、乗りたい人の属性で動かせるようにするんだ。」
「魔石はどれでも入るようにするってこと?」
「そうだな。
乗り物だけで売り出して、魔石は自分で好きな物を入れる方がいいだろうと思う。」
「成程ね。
取外しできるとさ、魔石盗まれるとかは無いの?
鍵みたいに、持ち運び出来るとか?」
「それは考えなかったな。
一度付けたら、外せない様にする予定だ。」
「魔石って、永久に使えるの?
知ってる?レジアス。」
「うむ、確かに壊れるという話は聞かんな。
加工に失敗して破壊はあるがのぅ。
何時まで有効かはわからんなぁ。」
まだまだ未知の部分があるんだな。
「そういえば、魔道士の使う杖に、水晶とか魔石とかよく付いてるじゃん。
あれは壊れないの?」
「そうじゃな、私のは400年以上経つが、変わりないな。」
「400年か。
ドワーフ的には長い?短い?」
「俺の爺さんは700歳くらいと言ってたぞ。」
「うちの婆さんは650くらいだったかな。」
デックスとルクラが、それぞれ述べる。
あはは、皆長生きだな。
「じゃあ、魔石を1人1個持つのは難しい金額?」
「1人1個は難しいな。
俺達は仕事で使うから目にすることは多いが、関わらない奴は買うための金を貯めることもしないだろう。」
「大きな魔石は、小さくして色々使えるようにするしな。」
手に取った魔石を眺め、ルクラが言う。
「この大きさはほんとに凄いよ。
どんなでかい魔物倒したんだか。」
「うーん、纏めて倒したからよく覚えてないなぁ。
どれから出たかもわかんないし。」
みさとの発言に、ギョッとするデックス・ルクラ。
「本当にみさとが倒したのか。
すげぇな、魔石の数だけ倒してんだろ?」
「そうなんじゃない?
たっくんが全部拾ってくれたからなぁ。」
「拓海、お疲れ。
こんだけ拾うのも大変だったろう。」
「そうだね。
途中で諦めて、勝手に吸い込む様に変更した。」
「は?」
「魔法でね、落ちてる魔石を自動的に入るようにした。
袋に魔法かけたら、後はみさとが倒した後をついて行くだけで魔石が集まる仕組みさ。」
やった事を淡々と言っただけなのに、レジアスに大きなため息をつかれた。
「デックス・ルクラ、こやつじゃから仕方ないのじゃ。
何でもありだと思っておれば、疲れなくなるぞぃ。」
「何だよそれ、何でもできるのかよ!」
「あ、あはは…」




