お試しにも程がある 124
「これはあれじゃな、沢山持っているから価値が分からんのじゃよ。
そういうことにして、貰えるものは貰っておくが良い。」
「そうだよ、沢山実験して、早く世に出すんでしょ?
頑張って!」
「お前等なぁ。
こんな高価なもん、はいそうですかって割り切れるかぁ!
ルクラ見てみろよ、わかるだろ。」
まだ座り込んでるルクラを指差し、顔を真っ赤にするデックス。
そんなこと言われてもなぁ。
「ねぇレジアス、袋ごと増えてるから心配しないでって言っていいやつかな。」
「そんなことだろうと思ったぞ。
良いか、拓海。
この量は、一財産では済まん量じゃ。
金貨の山を見てるのと同じじゃ。」
「金貨でも実感無いけど、価値はあるってことだよね。
確かに依頼だったから取りに行ったけど、冒険者ギルドだけでは支払えなくて商業ギルドも来てくれていい値段付いたっけ。
そういう事なんだ。
寧ろさぁ、山程魔石流通させて価格破壊する?」
「何を言っとる。
冒険者達の食い扶持が無くなるぞぃ。」
「そっかぁ、残念。」
「ドワーフ側だけに流通させると、折角停まっているエルフ側からの攻撃が再開されんかが心配じゃな。
人間相手ではないから、私には関係ないと言われればそれまでじゃ。」
「それは辞めた方が良いね。
話してくれてありがとう、レジアス。」
「ふぅ、やれやれ。
さて、どうかな、デックスよ。
決心はついたかのぅ。」
「まぁ、使うかどうかは別として、一旦落ち着こう。
俺からも話したかったんだか、こうなると話しづらいぞ。」
「何々、どうしたの?」
「確かに魔石は動力源になる。
魔力があればな。
ただ、魔力がなくても利用方法はある。
ルーン文字だ。
その技術を持ってるルクラが来てくれたから、少し進みそうだと話したかったんだがなぁ。」
全員でルクラを見るが、まだ呆けている。
「確かに、練習台は欲しいんだよ。
後は、動くかどうかの確認も必要だしな。
ついこの間、魔石は中々手に入らないから、ゆっくりやろうぜってこいつと話してたんだ。」
「そっか、驚かせちゃったんだ。
悪いことしたな。
でも本当に、みさとと俺で取ってきたものだから、心配しないで使ってほしい。」
隣でみさともうんうんと意思表示している。
「この石じゃ駄目だった?
使える基準満たしてないのかな?」
みさとの心配そうな声に、デックスは横に首を振る。
「いやいやみさと、とても良いものだ、心配すんな。
この辺だと採れるところ無くて流通少ないから、とんでもなく高価なものだってだけだ。
手で持てる分だけでも小躍りするくらいなのに、この山見たらそらおかしくなるわ。
ガッハッハ。」
大笑いしたデックスは、改めて俺の方を向いた。
「拓海・みさと、有難く使わせてもらうぜ。
その代わり、出来た商品第一号は、お前達に貰ってもらう。
いいな?」




