お試しにも程がある 122
「ここだね。
もう居ないかな、どう?レジアス。」
画像を撮った場所まで戻り、発案者に聞いてみる。
納得いかなさそうな顔のレジアス。
「むむむ、取り逃したか。
みさとはどうじゃ?何か見えるかのぅ。」
「見えないねぇ。
顔出してくれればいいのにね。」
残念そうなみさとの声に、渋々レジアスは決断する。
「見えないものは仕方がない。
本来の目的に戻るとするかのぅ。」
気が変わらないうちに、元の進路に戻した。
少し寄り道したから、スピードアップで良いよね。
「じゃあ行こうか。」
デックスの家に向かうと、丁度買い物から帰ってきたところらしかった。
「デックス、久し振り。今日はお土産持ってきた。」
「おぉ、拓海。
俺も話がしたかったんだ。
あっちに行くか。」
デックスが指差したのは、ログハウス風の別館。
買い物の袋も持ったまま、ドアを開けて入っていく。
「帰ったぞ、食事にしよう。
ルクラ、客も来たから一緒に食べよう。」
相変わらず広々した中で、1人のドワーフが蹲るように作業に没頭している。
どうやら、聞こえてないようだ。
仕方無くデックスは近くまで行き、作業内容確認してから改めて声を掛ける。
やっと顔を上げ、一休みできそうだ。
2人に近づき、挨拶とレジアスの紹介をする。
「今日はドワーフの国に来てみたいという人も連れてきたんだけど、良いかな。
レジアス、おーい。」
声を掛けるが、本人はキョロキョロしっぱなしでこちらも気づいてない。
広くするのは、うちで見慣れてるはずだけどな。
「レジアス、どうしたの?
デックス達に紹介したいんだけど。」
「何じゃこれは、拓海の仕業だな。
こんな広い空間、家の中にあると思わんじゃろ!」
「あはは、そうだよ。
実験してもらうための施設だからね。
それより、こっちこっち。」
やっとデックスとルクラの元に辿り着く。
「改めまして、こちらレジアス。
魔法が得意な人。
レジアス、デックスとルクラだよ。」
「お初にお目にかかる、レジアスと申す。
いきなり押しかけて済まなんだな。
宜しく頼む。」
「いやいや、よく来たな。
俺がデックス、こっちがルクラ。
宜しくな。
やっぱり驚くよな、この広さ。」
「そうじゃな。
広く出来ることは知っていたが、これ程広いとは考えもせんよ。」
2人して声を出して笑う。
変なところで意気投合。
「ところで、土産とは何だ。
良いものか、拓海。」




