お試しにも程がある 120
「いらっしゃい!
3名様だね、ちょっと待っててね。」
街おこし企画は大当たり、地元にも人が沢山やって来た。
からくりとしては、豆腐ではなく大豆製品でコンテストを行い、知名度を上げどんなものがあるかを知ってもらった。
出張店出す前に、クレスタの店の味噌汁に豆腐・油揚げ、小皿に卯の花か湯葉を出した。
少し浸透してきた頃に出張店出して、抵抗なく料理を試してもらう。
麻婆豆腐・衣笠丼・厚揚げの肉詰め・豆腐の旨煮・いなり寿司・厚揚げピザ・豆乳のジェラート・ブラマンジェ・ずんだときな粉の団子・呉汁・ポルテさんの鍋…
食べたことのないものだらけで、出張店には行列が出来た。
ポスターを貼ってあるので、現地で色々食べようと言う人も出て来た。
転移装置あるおかげで、移動する事が娯楽になってきたようだ。
最初は冒険者が多かったが、美味しいもの好きな人はやはり多いらしく、移動の依頼が増えた。
転移装置近くで、「転移できます!」という看板を持った魔道士が十数人、忙しそうに客とやり取りしている。
家族・団体・荷馬車毎でも対応。
偶に、魔道士程ではないが魔力保有している他の職の転移屋も見かける。
こちらは1人運ぶ専門で、魔道士と比べると少し安め。
用途と金額に応じて選べるのは良いことだ。
行った先で帰りの転移に並ばなくても良いように、帯同する魔道士も居る。
何せ、現地の方が色々あるので、回るだけでも時間がかかる。
店で座って食べられる食事処から、串に刺して食べ歩きできるものまで様々だ。
特に、串団子と串に刺した油揚げが人気。
団子はきな粉・ずんだ・あんこ+きな粉・みたらし・バター醤油・磯辺と用意。
油揚げは、スティック状にしてあり、生姜醤油か昆布塩を選択。
変わったところでは、おからクッキー・豆腐ドーナツ・湯葉チップス、炒り豆はノーマル・海苔塩・バター醤油・カレー風味とバリエーション豊か。
実はこの辺り酒も評判のようで、コップで量り売りもしている。
テーブルと椅子のブースは満席、芝生に座り込んでる人も見かける。
勿論枝豆・冷奴も出す。
冷奴には、鰹節と葱を乗せ、醤油を少し。
クレスタは今回も鰹節・昆布・チーズ・バター等売上を伸ばしている。
1週間しかやらないのが勿体無いくらいの盛況振り。
そう思うからこそ、忙しくても笑顔を絶やさず頑張るソアラ・ポルテ達。
大豆がこんなに売れるとは思っても見なかったようで、嬉しい悲鳴である。
地元住民も、これを期にもっと商品開発してみようということになった。
祭りの開催には乗り気ではなかった者たちも、大勢の客を前にそんなこと言ってる場合ではなくなった。
他でもやっていたイベントなので、今回はどんな物が出るか楽しみな人が多かったらしく、初日からてんてこ舞いだったのだ。
回を増す毎に注目が集まるようになってきた。
今回はクレスタに直接声がかかったが、街おこし企画の組織としてチェイサー・マークツーも勿論参加。
説明や準備・開催中の人員誘導も手慣れてきているようだ。
滞りなく進められる様を見て、俺とみさとはほっとした。
「うーん、納豆と高野豆腐出せなかったのは勿体無いなぁ。」
「それは次回かな。
時間もかかるし、好みの分かれるところだしね。」
「私が納豆食べたくなってきた!」
「俺も食べたい。」




