お試しにも程がある 114
「うん、良い感じだね。
流石セプターさん、おにぎり慣れてる。」
中身を変えてどんどん握っていくセプターを横目に、焼きおにぎりの用意。
事前に鰹節と醤油で混ぜたご飯を握っておき、焼目を付けていく。
焼けるといい香りで、セプターと一緒にニヤニヤしてしまう。
「お腹空く香りですよねぇ。」
「本当です、みさと様。
早く皆様に出したいですね。」
「私、こっち終わったら汁物作りますね。
豚汁って出した事ありましたっけ?」
「無いですね、ご教授頂けますか?」
真面目だなぁ、良い人。
「はーい。
下拵えはやっとくので、作るのは一緒にやりましょうか。」
「是非お願いします!」
ということで、私は下拵え、セプターはおにぎりをどんどん進めていく。
その頃の俺達は、まだ魔石の話が続いていた。
「ねぇレジアス、レジアスは魔石使えるの?」
「そりゃ使えるわぃ。
ドワーフは魔法自体を使わんから難しいだけで、エルフしか使えん訳ではない。」
「そうなんだ。
じゃあ、ドワーフが使えるようにするのって大変なのかな。」
俺の疑問に、不思議な顔をして答えるレジアス。
「道具を作るだけなら、問題ないじゃろ。」
「そうじゃなくてさ、ドワーフが普段使う道具に魔石使いたいんだよ。」
「ドワーフが魔石を使う?何に?」
「この間会ったドワーフがさ、1人用の移動手段で魔石使えたらって言ってたからさ。
どうなんだろって思っただけ。」
「成程な、乗り物か。
面白いことを考えるのぅ。
ドワーフで使うとしたら、確か何かの文字を利用するとは聞いているが、はて…」
考え込むレジアス。
流石に何でもは知らないよね。
「情報ありがとう、レジアス。
また今度行ってみるよ。」
「なぁ拓海よ、ドワーフの国はかなり遠いと聞いているが、もう転移出来るのか?」
「出来るよ?
この間世話になった人の家だけど。」
俺の答えに、ワクワク顔のレジアスが食い気味で質問。
「なら次に行く時に、私も連れて行ってくれんかのぅ。
実は、行ったことがなくてな。
言葉もわかるはずじゃし、行けるなら行ってみたいんじゃ。」
「良いよ、そうしようか。
大事にならないと良いけど。」
「なぁに、ただの観光旅行じゃ。
何も起こるまいよ。」
「転移でいいの?
前回は車で行って、湖の上を飛んできたんだけど。」
「それは楽しそうじゃ!
湖も大きいんじゃろ?あそこには何かあると睨んどる。
上から見たら、何か出てくるかも知れんな。」
やっぱりそう思うよね。
レジアスなら、何か違う発見をするかもしれないし。
「じゃあ、次に行くときに声かけるね。
レジアスの都合もあるだろうから、なるべく考慮するし。」




