お試しにも程がある 112
「高値で買わせているから、恩恵と言えば恩恵かもしれんな。
販売ルートも決めておるし。」
負けた原因が居るから、まだ約束は破れないだろうね。
「そして今の平和を勝ち取ったと。
凄いね、レジアス。」
「あ奴らが無作法だっただけじゃ。
きちんと話し合いという手段を取ってくれれば、そこまではせんかったものを。」
「そもそもさぁ、言葉通じないと無理じゃない?」
「そうじゃな。
変わり者は昔から1人2人は居るもんでな、いつの時代も通訳は事欠かんかった。
今のように自分で分かる方が、よっぽど良いがな。」
なぜか自慢顔のレジアス。
そうか、来たからには言葉も覚えるのか。
大変だったろうな。
「成程ね。
じゃあ、国内では少し安く出回ってるって事か。
武具とか興味なかったけど、そういうのに使われてるのかな。」
「そうじゃな。
武器もそうじゃが、魔道士の杖にも使われとるのぅ。」
技術があるって良いよね。
「武具に付ければ、適正ある冒険者ならその魔石の属性魔法が使える。
杖についても、その魔石の属性魔法がより良く使えるのじゃ。
以前は杖に埋め込んでたらしいが、今では装飾品で持つ方が主流らしいがのぅ。」
「そうなんだ、補助みたいなもんか。」
「お主は要らんじゃろ。」
「いやいや、良いのあれば使ってみたいじゃん!
魔石はまだ手元にあるしね。」
「他の冒険者達に譲ってやらんか。
詠唱なしで魔法使える奴が何を言っとる。」
「それとこれとは話が別でしょ。
使ってみたいの。」
熱弁する俺に、肩を竦めるレジアス。
「資源が少ない物は、弱者に優先的に分けるもんじゃ。
強者が奪ってどうする。」
そう言われると、躊躇するよね。
「そういうもんか、わかったよ。
寧ろ、沢山供給する方にあたれば良いかな?
さっきも、ダンジョン1つクリアしてきたんだよ。」
「そうか。
ダンジョンの仕組みも、よくわかっておらんのだよ。
最後まで辿り着けた者がおらんでな。
再度入って、魔物が出るか試して欲しいくらいじゃ。」
え、まだそんな感じなの?
だから完全制覇したらビックリされたのか。
「みさとも楽しそうだったし、もう一度行ってみるよ。」
「そうか。
ところで、そのダンジョンは何階まであるんじゃ?」
「数えてなかったよ。
次行ったら、確認してみるね。
もしかして、そういった情報収集も必要なの?」
ふと思った疑問を聞いてみる。
「それは冒険者ギルドに確認してほしいのぅ。
私は知っているに越したことはないが、管理する立場では無いからな。」
直ぐ回答してくれはしたが、澄ました顔のレジアス。
「階層が深いと、強い魔物が出ると聞く。
強い魔物の方が、大きな魔石を落とすらしいからのぅ。
それに関しては、私が購入するのも吝かではないがのぅ。」
「さっきと言ってる話違うんじゃない?」




