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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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109/335

お試しにも程がある 109

 「あれ?出口に通じるって言ってなかった?」

 俺もそのつもりで居た。

 みさとの言葉は最もで、出口の無いただの広間だった。

 一通り歩いて、仕掛けがないか調べる。

 仕掛けも扉も何も無いなと思って立ち止まったら、大きな穴が空いて落下。

 何処まで落ちるのかと思っていたら、入り口に着いた。

 あの穴が出口?

 「帰って来たのかな?」

 俺はみさととシビックが居ることを確認、ウエストポーチの中に魔石の袋とオデッセイから貰った物が入っていることも確認し、やっと一息ついた。

 「不思議ダンジョンだったね、たっくん。」

 「そうだな。

 依頼完了させて、家に帰るか。」

 「お腹空いた!」

 確かに、色々買ったのにまだ食べてないな。

 「よし、帰ったら食事にしよう。」


 直ぐ様冒険者ギルドに行き、依頼終了を告げる。

 「もう終わったんですか?

 相変わらず早いですよね。

 今日受領したばっかりなのに。」

 職員のその言葉で、やはり時間は全く経過していなかったことを確認。

 「魔石を出したいんですが、籠とかトレーとかありますか?」

 「袋ごと貰いますよ?」

 「これ、たくさん入る袋でして。

 袋を渡せないんですよ。」

 「失礼しました、トレー持ってきますね。」

 職員は大きめのトレーを持ってきた。

 袋の口を下にして、中身を出す。

 山のようになった魔石を見て、職員は感嘆する。

 「凄いですね!

 こんなに倒したんですか。」

 「あの、まだ全部じゃないですが。

 これだけでいいですか?」

 「え?まだあるの?

 全部出して下さい。

 その分報酬も増えます!

 トレーもうひとつで良いですか?」

 「念の為2つか、籠の方が良いかもですけど。」

 「そんなに…寧ろ、鑑定があるので別室でお願いできますか?」

 職員が中身を溢さないようトレーをそっと持ち上げ、それと共に部屋へ案内される。


 中で待っていると、ギルド長と鑑定士が入って来た。

 「待たせたな。

 今日もいいもの持ってきたって聞いたぞ。

 籠も用意したから、出してもらえるか?」

 「わかりました。」

 俺は、前に置かれた籠に入る分だけ魔石を出した。

 まだ残っているのは分かっている。

 「おいおい、こんなにあったらギルドの金が無くなっちまうよ。

 商業ギルドにも声かけてくるから、待っててくれ。

 あ、この鑑定士は腕は確かだ、心配すんな。」

 ギルド長はひとりでさっさと部屋を出た。

 その間にも鑑定士は1つずつ魔石を鑑定、忙しそう。

 そんなに違いがあるのかな。

 1つ幾らで付けても良いんじゃないか?

 仕事の邪魔にならないよう静かに見守っていたが、鑑定士は数の多さに辟易していた。

 「この数揃えるのって、大群の大群でも倒したんですか?

 1回で見る量じゃないですよ。」

 一休みして、肩と首を回す鑑定士。

 そんなに多かったのかな。 

 「できるだけ取ってくるっていう依頼だったから、頑張っただけですよ。」

 「指定のダンジョンで、最後まで進んだだけです。

 面白かったですよ、皆倒しちゃった。」

 みさとの言葉を聞いて、鑑定士は顔面蒼白になった。

 「え、あの魔石が出やすいダンジョンは、手強い魔物しか出ないって噂ですよ?

 しかも、大人数のチームで行っても、帰れる余力があるうちに戻ってくるのに。

 完全制覇ですって?

 ヤバイねおたくら。」

 最後に本音が聞けて、鑑定士に親しみが湧いた。

 そんな鑑定士を見て、無邪気にみさとは俺に向かって言った。

 「もう1回行ったら、同じ位魔石採れるかなぁ?」


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