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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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106/335

お試しにも程がある 106

 「あれ、ここは?」

 どうやら戻れたようで、周りは石の壁。

 どうやら、転移を試したダンジョンにそのまま戻ってきたようだ。

 また車ごとしたけど大丈夫かな。

 

 ここだと周りを見ただけでは、時間経過がわからない。

 車から降りて、ウエストポーチにしまう。

 確か大きな魔物を倒したら、魔石と宝箱出てきて、そこからベゼルも出てきたんだよな。

 周囲を確認、放ったらかしにされた魔石と宝箱を確認。

 宝箱は蓋をされてたので、もう一度開けてみる。

 今度は、大きな水晶の付いた魔法の杖とみさとには少し大きいサイズの剣が入っていた。

 更に、小さな布の包みがちょこんと置かれている。

 開いてみると、綺麗な丸い魔石が複数見受けられた。

 「あ、お菓子だ!」

 それを見たシビックは、嬉しそうに声を上げた。

 「お菓子?こんなに綺麗なのが?」

 「うん。

 よく貰ってたからわかるよ。」

 俺は一粒指で挟んで眺めてみた。

 とても綺麗で、お菓子には見えない。

 「待って、お菓子なら食べたらなくなっちゃうじゃん?

 1回リュックに入れたら、また増えるよ。」

 「そうしてそうして!

 美味しいんだよ、懐かしいなぁ。」

 嬉しそうなシビックを見て、出し入れを何回か繰り返す。

 そんなにすぐには食べ尽くせないとは思うが、一包み分をシビックに渡す。

 「これ、シビックの飼主さんからの贈り物かな。

 律儀に全員分ある感じするよねぇ。」

 「そうだね、良い人?だったんだな。

 オデッセイ様だっけ。」

 「そうだよ。

 凄く良い主人だったんだ。

 でも今は、2人とのびのびする暮らしが楽しいんだ!」

 可愛いこと言うな、こいつめ。

 俺もみさとも、シビックの頭を撫で撫でする。

 「魔石も拾ったし、まだ先があるか見に行こうか。」

 「はーい!」

 中身を取り出した宝箱は既に消えていたので、心置き無く奥の扉に進む。


 扉を開けると、下り階段が大分先まで続いていた。

 明るいので先が見えるが、手摺はないそこそこ広い階段。

 「ねぇたっくん、持ってきた橇で滑ってはどうかなぁ?」

 「そんなもの持ってきてたの?知らなかったよ。

 先に何かあっても止まれないよ?」

 「じゃあさ、サーフィンみたいに乗って、何かあったら飛び降りるとか。」

 「怖い物知らずだな、みさと。

 やってみたいのね。」

 「うん!」

 そう、言い出したら聞かないのだ、みさとは。

 橇を少し大きめにして、皆乗っても余裕がある状態にして、物理攻撃来ても大丈夫な様に透明なシールドを張る。

 俺はため息をつきながら、橇を進めた。

 「あぁ、雪だったら良かったのに…」

 

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