お試しにも程がある 105
「色んな物が小さく見えるね!」
そう言うシビックを抱えたみさとも、外の景色に大はしゃぎ。
さっきまでいたスーパーも、ノロノロ運転の車も、多くの住宅も、小さくなっていく。
「夜に飛んだら、夜景綺麗だったかもねぇ。」
「それは次回のお楽しみで良いんじゃないか?」
そんな会話をしつつ、速度を上げて飛んでいく。
下に見えるのは沢山のビル群と赤と白のタワーだったり、海を跨いだ高速だったり、お城と火山がある遊園地だったり。
海の上の船も、久しぶりに見た。
「こっちは沈まないもんね。」
「向こうは何か居るんじゃないか?
海坊主とかクラーケンとか、引きずり込むタイプのヤツ。」
「平和な海って良いよね。
あ、向こうは湖か。」
皆で笑いながらフラフラ好きな所を飛んでいると、屋上に駐車場のある大型商業施設を発見。
屋上駐車場で、全く車の居ない一画に降りる。
留めてから透明化の解除、車から降りた。
ここでの目的は、貴金属店とATM。
貴金属店で金貨と延板購入・ATMでは一度で入るだけの紙幣を入金。
スマホのアプリで、口座の残高増えていることも確認。
何事もなかったかのような顔で車まで戻ると、ドアを締めた途端みさとはあわあわし始めた。
「たっくん、自販機でもATMでも使えちゃったよ、どーしよー。」
「どーしよーも何も、本物だから使えたんじゃない?
考えても仕方ないよ、使えちゃったんだから。」
「そ、そうかな。」
「取敢えず帰ろうか。」
周囲を確認、透明化して空中に舞上がる。
ナビで自宅ボタン押して、そのまま任せた。
「これも出来るのか、凄いな。」
自宅のあるマンションの駐車場に到着、楽しかったドライブは一先ず終了。
「ところで、戻る魔法試したいけどどうかな?」
「「異議なーし!」」




