お試しにも程がある 102
「お家の中は大丈夫みたいだよ。」
みさとは再度家の中を見て回って、引き出し等もチェックしたようだ。
ソファに座り、リュックも抱える。
「ねぇねぇ、リュックの中戻ってないか見たいんだけど、一緒に確認してくれる?」
「良いよ、俺もウエストポーチ持ってくるよ。」
シビックを間に挟み2人で座り、それぞれウエストポーチとリュックを抱える。
開けてみると、真っ暗で異世界で利用してた時と同じ状態。
手を中に入れて欲しいものを探すと、それが出てきた。
「無くなってないね。」
「これ、やばいね。
お財布も増えてるんだけど。
硬貨はいいけど、紙幣は同じ番号だよ。
使えるのかな?
今更どれが原本か分からないよ。」
「それか!
確かに、ATMとか自販機とか分からないな。」
みさとが示した同じ番号の3枚の紙幣。
「バラバラに使うしかないかな?」
「そうだね、今のところネット決済しかしないから使う予定も暫くないけど、そうなるかな。」
向こうの世界で金貨は増えて嬉しかったけど、こっちじゃそうなるのか。
500円玉だらけも困るし、この為に貴金属店で金貨か延板購入しとくか?
色々取り出してみていたが、シビックはつまらなくなったようだ。
「お腹空いた。
ご飯食べたいなぁ。」
外は暗いから晩御飯なのかな。
「そうだね、ごめんごめん。
何にしようかなぁ。」
ソファから立ち上がり、冷蔵庫を見に行くみさと。
炊飯器をセットしてから、材料を取り出し調理にかかる。
「炊飯器あるのって、やっぱ楽だね。
今更だけど。」
「そっか、向こうだと鍋だっけ。
いつもご飯作ってくれて、ありがとう。」
「ぶっちゃけね、炊けたお鍋ごとリュックに入れとけば、何時でも出せるのよ。
それを作ってくれたのは、たっくんだからね。
そんな感じで、楽もしてます。
まぁ、時間のある時は、炊いた方が良いと思ってるよ。」
慣れない方からすれば、鍋でご飯炊くってすごく大変に感じるよ。
そんな考えが顔に出ていたのか、俺の言葉に全然大変じゃなさそうに、笑顔で答えるみさと。
着々と料理を作り、テーブルに並べ始めた。
今日は麻婆豆腐があるので、箸だけでなくレンゲも用意。
それを見たシビックが、慌ててみさとに聞いた。
「ねぇ、僕用のスプーンとフォーク持ってきた?」




