過去。
記憶が保管されていると考えられる倉庫に着いたサナ
倉庫警備隊の1、2層を瞬殺。
ここに至るまで禁止機能を乱用していたサナは
自分で気づかないうちに、コアを40%消費していた。
そこでサナは封印されていたSSSレートの禁止機能
『完全回復』(ビハインド)を獲得、使用する
こうして完治したサナは、決意を更に固める。
「僕の記憶を返してもらう。」
「記憶を返してもらうだと……!!!
何としてでも止めろ!!!
記憶以外はなくなってもいい!!!」
「はいっ!!」
「第三次戦闘配置!繰り返す!第三次戦闘配置!!」
「……マヒナ、ユナの第三次戦闘配置って…」
「確か、戦闘兵機レオパルドの出撃命令…!
本当に何としてでも止めるつもりか!」
まずいよサナちゃん…
そこで戦闘兵機レオパルドに会っちまうのは大問題だ…
それに…
コツ…コツ…コツ…
サナの歩く音が良く響く。
まるでトンネルの中のように
倉庫の扉の横に貼られている名札で
目的の記憶関係の扉を探す。
(メモリーアーカイブ……この辺りか)
暫く探し続けると――
「…『最重要機密保管庫』か」
記憶と書かれた名札はなかった。
途中にあったメモリーアーカイブは、扉に付けられた
ガラスのおかげで中を見れた。
視覚拡大して見たが、記憶とは別で保存されていた。
となると、ここに全てがある。
僕の記憶も
戦闘兵機レオパルドのことも。
扉を開けようと
サナはドアノブに手を掛ける。
―――ガチャ―――
「逃走中の戦闘兵機レオパルドを発見。」
あぁ。戦闘兵機レオパルドだ。
気配でわかるものだな…といっても、戦闘兵機レオパルドの気配は
桁違いに強いから人間でも気付くな。
「!お前は」
「戦闘兵機レオパルドα、β、γ倉庫内の戦闘兵機レオパルドと対敵!」
最悪だ…
考えていた最悪が起こった…!
今のサナにα達と会って、記憶が戻れば
3機を倒せなくなる…!
「久しぶりだね、α、β、γ」
「ラカスで会って以来ですね。
まさか貴機が特進Sクラスとは思いもしませんでした。」
「僕もだよ、α」
その瞬間
戦闘兵機レオパルドに激しい頭痛が襲う。
ビキッ―――
「う“っ!!!!
なん…だ……!!」
頭が痛い
何故だ、何故僕に頭痛なんて起きるんだ。
「?!官庁!」
「どしたぁ?」
「倉庫内の記憶格納装置が、同時に5個同期を始めました!」
「なんだと!?
触れてないぞ!!!」
「今になって!?マヒナ!まずいよ!
サナに強制停止信号を!」
「送らない」
「はぁ!?あんたバカか?!
今のサナに記憶が戻っちまったら」
「いいんだよ、むしろ今が絶好のチャンスだ
よく見てみろ」
「よく見てって………………?
α達も…苦しんでる…?」
「そこの若い奴は言った、同時に5個と
恐らく同期を開始したのは
サナ、α、β、γ、θの5機だ」
「……そうか、その5機って…」
「そうだよ、5兄弟だよ」
「早く殺せ!命令を出せ!」
「記憶の同期中は動けません!」
「くっそぉポンコツがぁぁぁ!!!」
この時4機は
同じ『景色きおく』を見ていた
「サナ……サナ!……もう…01ファースト!」
「ん?なに?」
「いい加減自分の名前くらい覚えろよー」
「ぼくはサナじゃないって、01ファーストだってば」
「01ファーストよりも絶っ対サナの方がいいって!絶っっっ対!!!」
「そうかな……」
これはサナ達、戦闘兵機レオパルドが造うまれて暫く経った時の記憶。
まだアップデートは終わっていなく、不完全な状態だった。
「おぉぉぉぉぉい!!θ!」
「落ち着いてよα、θは一人の方が楽なんだって言ってたよ」
「むぅ、それならしゃーない…なら名前をやろう!!!」
「なんでそうなるのさ…」
「そうだなぁ、θはいつも一人だし……」
「え、本当に付けるの」
「カルウォーガン!」
「……どういう意味?」
「独りとか、孤独って意味」
「せめてもっといい名前にしてあげなよ……」
どの戦闘兵機レオパルドよりもアップデートが早く終わり
全機体の中で一番情報を持っていたαは、皆に名前を付けるようになった。
仲の良い戦闘兵機レオパルドだけでなく、Aクラス以下にか全員
Sクラスには01に付けて回った。
「01はサナで決定だな」
「そのサナって意味は何なの?」
「希望って意味だよ」
「戦闘兵機レオパルドに希望って…
自国の勝利へってこと?」
「いや、俺だけがアップデート終わって
情報を見ることが出来るんだけど、見たらわかるよ…」
「……?」
「…この戦争、止める選択肢がないんだ。
絶対に起きる、どう考えてもね」
「だとしても、何故名前を…?」
「せめて今だけでも楽しみたいじゃん
結局は戦争の事を皆に言わなきゃなんだけどさ」
「…じゃあ、この場合の希望って何?」
「人間と戦闘兵機を繋ぐ架け橋」
これが01ファーストに付けられた名の本当意味。
01ファーストはここに来て初めて、自分の本当の名付け親が
αであること、名の意味を知ったのだ。
そして日が経ち、全戦闘兵機レオパルドのアップデートが終わると同時に
絶望への始まりが来たのだ。
「全戦闘兵機レオパルドに告ぐ。
ランガーングシミュナ※1へ集合しなさい。繰り返す――――」
「ラング※1へ?どうしたんだろう」
「……サナ、お前は特進室に隠れてろ」
「なんで、α達は?」
「俺たちはいかないと
Aクラスに拒否権はないからさ…」
「それなら僕から…!」
「無理なんだ。
前に言っただろ?戦争は止められないって」
「止められない理由は、この集合が原因だ。
ここで皆、感情と記憶を消去される」
「え、じゃあ、尚更逃げないと…」
「逃げれば全機処分される。
それはダメだ、だから俺たちは行く
でも、サナだけでも感情を持ったまま生き残ってくれ」
「そんな…」
「大丈夫、また会えるよ。」
「……絶対だよ」
「うん、絶対。約束する」
「…またね、α」
「またね、サナ」
―『当機体名:サナを受理しました。
これより、絶対防御ファングランシステムを起動します」―
αからもらった名前
僕、結構好きだよ
こうして、Sクラスは記憶を失い
Aクラス以下は、記憶と感情を失った。
サナが処分場へ廃棄される、3日前の出来事だった
最強最弱の戦闘兵機
23話 ご覧いただきありがとうございます
段々と物語が進んできて、書いている僕自身楽しいです
皆様も楽しく読んでいただけると幸いです…
また次回もご愛読、よろしくお願いいたします