あれ?もしかして…
短すぎ・つまんない可能性あります
(普通…?意味がわからない。明らかに雑魚能力値だし、なんだよ『普通化』って職業も普通になってるし)
そして宰相らしき男が孝を伏せさせ、ロープで腕を縛った後、国王に進言した。
「な、何てことだ…国王陛下、コレはもう処理しても宜しいですか?」
「ああ、構わん。こんなゴミ、軍の邪魔になるからの。国の最奥の森にでも捨てろ。だが、最後に話だけでもさせるかw」
そうして孝はロープで縛られてしまった。だが、最後に挨拶だけさせるとか、皮肉だと孝は思った。
(本人がいる前で堂々と処分宣言しているよこの人……でも、そりゃそうだろうなぁ。だって軍事兵器的なので呼んだ人間に、明らかな不良品がいれば、それは捨てるが普通だ。それでも何か、心の中にある生存本能が、『まだ生きたい』と言っている。本当にあの夢を見てから、なぜか最悪の連続だ。あのジジイ達、夢であったら一発殴ってやる…)
そう今後を考えていた孝に陽キャ(以下略)がやって来て最低な言葉を吐いた。
「やっぱり雑魚は雑魚だなあwwwDTで人生オワタするのかw未使用の相棒ちゃんかわいそうでちゅね~wwてか、お前のあの能力値いかれてんなあwwwでもきっと処分じゃなく放置になるから。王宮にお前みたいな奴の死体なんか一時たりとも置かないと思うから、森の中で、ガ・ン・バ・レ♪あ、ちなみに桜音ちゃんのはじめては俺が貰うから~♪」
「義人、流石に言い過ぎだし、気持ち悪いよwwwでもこんなゴミ、はっきり言って価値無いよね?別にそんな損害無いだろうし…」
「ほんまやなwこいつは何も取り柄も無いし、ただのモブで居ても、居なくても変わらんやろ」
孝はそう言いに来た陽キャ共への怒りボルテージが久しぶりに突破しそうだった。それからしばらく経ち、孝に寄ってきてくれた奴らがいた。親友の佐々木と綾辺、そして桜音だった。まず佐々木と綾辺が孝に抱きついた。普通ならキモいと思うだろうが、孝からは嬉しさと悲しさの混ざった涙が出てきた。死ぬかもしれない恐怖と自分を助けられないことを悔やんでくれる人がいることを同時に理解した。そして佐々木が言い出した。
「孝、ほんとにすまん!…俺たちが無力だからこんなことになって、孝を追放させてしまうなんて…でも、絶対俺と綾辺でお前を探し出す!生きていても、そうでなくても、一緒に絶対帰るぞ!帰って3人で同じの食って、ゲームして、一緒に笑…笑っ…ウウ笑って…」
佐々木はスポーツマン系で一緒にスポーツをしたりしても佐々木が大体勝つ。スポーツをしないで家で過ごす時もあり、ドラマを見る度に普段から泣くが、ここまで泣くのは孝も綾辺もはじめて見た。そして孝はそんな佐々木の背中を摩って明るく言った。
「佐々木…俺を探すのに無理は絶対するなよ…」
孝を佐々木が離すと、次は綾辺だ。と思ったその時、孝は気付いた。少し血が滲んでて擦れてるところのある肌。服にできたまだ新しい中くらいの解れ。咄嗟に孝は綾辺に顔を寄せて言った。
「綾辺、誰と戦った…?」
「よ、陽キャ脳筋と…だ、だってあいつら孝のこと『雑魚モブ一人減ってラッキー♪ついでに変態の汚名も着させるかww?』とか言ってて許せなかったんだ…って孝…?」
孝は途中から近寄れる所までいって、綾辺の耳元で泣いていた。孝の中は嬉しさと悔しさでいっぱいになった。綾辺はどちらかというと、インドア派だ。運動はするが、中で何かする方が好きなのだ。だから、脳筋に比べると筋肉もないし、戦ったら危ないレベルだ。そんな綾辺が自分のために脳筋と戦ってくれたこと、脳筋の様子からして負けてしまって、脳筋が元気なことが悔しいということだ。そして孝は綾辺に、
「次、叩きのめせるぐらい頑張ってくれ、きっと行けるから。そして、勇気を出してくれてありがとう」
そう言って、孝は綾辺から離れた。最後は桜音だった。
(桜音には元気に元の世界へ帰って欲しい。だからこそ、ここでサヨナラしよう)
そう思う孝になぜか桜音は何も言わず近づいてきた。ガチ恋距離まできたと思ったら、キスをしていた。何が起きたか一瞬解らなかった、けど、気付いたら唇が合わさっていた。そして気付けば、桜音の職業は巫女から魔導師・治癒師になっていた。
「お、桜音殿⁉何をしているんですか!…って、たた、大変です陛下!この者の職から『巫女』が、『巫女』が…!」
「どういうことだ聖女神!」
王達が騒いでいるが、孝には消した理由が解らなかった。仲は良かったが、それだけで莫大なデメリットを背負うとは思わない。だがその答えは、すぐに知ることになった。
「田中君。いや、孝君。私は貴方が好きです。これからも貴方と過ごしていきたい。だから、貴方一人じゃなく、私も貴方と行く。きっと今ので私は、国家反逆罪か何かになったと思うから」
「それじゃあ駄目だよ!天宮さんまで来てしまったら…」
「いいえ、私は絶対についていく。それが私の意思だから」
桜音のことを守りたかった孝。孝と共に過ごしていきたい桜音。二人は互いにに生きて欲しいと思っていた二人だからこそ、したいことは違った。
「孝君がなにを言おうと私はついていって、貴方を横で支える。そう決めたのだから私はやる」
孝は自分を好きな桜音に何を言っても諦めないのだと思い、何も言わなかった。だが、その邪魔をする奴らはやはり出てきた。
「桜音ちゃん‼そんなゴミのどこが良いんだ!そいつより俺選ぶ方が良くない?それと俺は、俺は君に一緒に過ごして欲しいんだ!駄目かい?」
義人が桜音を性的に見てるのを知ってる孝は、怒りと呆れに満ち溢れそうだ。孝が義人に手を出す前に桜音が動いた。桜音は義人に近づく。義人は自分側に来ると思ったのか、鼻の下を伸ばしていた。だがそれと裏腹に、桜音の答えは違った。
「私にとって、貴方と共にいて何かメリットはありますか?」
「えっ?そ、それは…」
「何も言えないですよね?私は何度頼んでも毎度優しく手伝ってくれ、趣味の話をしても、私に合わせてくれる。そんな孝君の人柄に惚れました。孝君といて、とても私は充実していましたし、今もそれは変わりません。それに比べ貴方は、強欲で傲慢、そのうえ怠惰ですか。どんな面でも成長する努力をせず、ただ自分の欲とプライドだけを満たそうとする。私や他の顔の良い女子を見る貴方はまるで、性欲の化身…あ、それなら色欲もでしたね。あと3つで7つの罪が完成してしまいますね」
「う、うるせー‼顔が良いからって調子乗りやがって…王様!早くこの女ごと追放してくれ!」
ディミオルゴは二つ返事で「うむ」と答えた。孝はそうなるのをなんとなく予想はしていた。それはそうだろう。意味不明な能力情報の孝、希少職である巫女を捨てた桜音。そんなのは国にとって、最大な汚点の塊のようなものだ。そして少しして時が来た。
「じゃあな、ゴミ共ww」
悪意のある満面の笑みを見ながら、孝と桜音は王族によってある森まで転移させられた。明らかに開拓されていない森、所々から聞こえる聞いたことのない音、完全に森だ。そう孝がアホ面をしながら周りを見呆けていると王族達…イアンとスキアが話掛けてきた。
「二人とも大丈夫?!てか桜音‼本当にびっくりしたわよ‼まさかあんな手に出るとは…でも何故か少し思い浮かんでたけどさ」
「まったくだよ。桜音ちゃんならやりそうだけども」
「えぇ!二人ともあんまりだよ~‼異世界人だってこと、教えてくれなかったし…」
「「いや、桜音 (ちゃん) は少しドジったりしそうだからさ~…」」
以前と変わらず、桜音や陽z…イアン達が楽しそうに話していて、それを見ていた孝は心がポカポカしていた。だがそこから一気にイアンが話題を変えた
「あのアホジジイが孝君に追放させるとかバカだとは思わなかったよな~」
「「え?」」
「というか、俺の名前知ってたの?!?!?!」
「いや知ってるよ。これでも生徒会長だよ?ある程度は生徒を覚えたし、孝君は桜音ちゃんからずっと聞かされたしね。それに孝君は意外と先生や生徒、用務員さんにまで評判良いよ?」
いや、嬉しい。それ以外の何がある?中位カーストが一番覚えづらいよ?てか、話したことのない月みたいな存在よ?え、ヤバい。顔崩れそうだわ。孝はそんな感情でいっぱいになっていた、ついでに桜音は顔真っ赤。だが、忘れてはいけないことを聞く。
「俺って糞能力だよね?だってなんだよ、『普通化』って…」
「「いや、それ!!!」」
「『普通化』が何?」
「それがね、僕たちにも『看破』あるんだけど[Lv.10]なんだよ。その域なら読みやすい詳細までいくんだけど、『普通化』は、{Lvに合った主の望む力を、主の普通とする}って言う奴なんだ…」
それを聞いた孝は、「嘘だろ」と思ったが、唐突に耳鳴りがし、景色が暗転した。…そして目覚めると元の世界と異世界の間に来た空間にいた。そして後ろから、殴りたいと思っていた奴らが現れた。それに気付きすぐに孝は形相を変え、そいつらに詰め寄った。
「おい、覚悟はあるんだろうな…?ゼウス、オーディン、イザナギ」
「「「は、は~い…」」」
Ⅱ
▷Ⅱ
◈
「どこなんだ、ここ」
まず一声目に出たその言葉は広いこの空間にも響かなかった。孝はそのわからない空間のどこかもわからないその場所に立っていた。そこは狭いようで広くも感じ、暑いようで寒くも感じる。そんな場所で孝は次の行動を考える。
「どうすべきなんだ…もし無駄に動き、元の場所すら分からなくなり、0にも帰れない。逆に動かずにいて、取れるべき生存方法を失い、息絶える。う~ん…」
「クックック、最近のはみんなこんな頭しとんのか?」
幻聴かと思った孝だが、急に何かを感じ取った。そう、覇気のような物だろう。そうしていると、二人目、三人目の声も聞こえた。
「いや、あんたよりはマシやと思うけど」
「もういいじゃろ。私はお茶でも飲むかな」
孝は声の方を向くと、ボディビルダー顔負けの筋肉を持つ、白髪で巨体、白い布服と植物の冠を着けた覇気のある老人、細マッチョで眼帯、覇気を放つ槍を持つ広いつばの帽子の老人、一見弱そうだが、漂う覇気、眼力、そして社の幻覚を見せる老人、その三人が机を囲んでお茶しながらカードゲームをするという異常な光景が広がっていた。
それを見た孝は困惑を通り越して、ロボットのエラー状態になっていた。だがすぐに目的を思いだした。困惑は 残っているが、孝は勇気を出して近づき、老人達に話しかけた。
「あ、あのー…貴方達は?」
「あ、もう着いていたのか。我はゼウス、ギリシアの最高神であり天空神であり雷神でもある。『神々の父』とか、聞いたことないかの?」
「ワシは北欧の主神であり、戦争と死をも司る。時には風神や嵐の神とも言われ…神槍を持つ神、オーディンだ!」
「私はイザナギ。お主の国を作りし者である。きっと知っての通り、私の妻はおかしくなってしまった為、いまは離れており、私はこの老人達の介護と言ったところだ」
「「おい!」」
孝、いや日本で聞けば大抵の人が知る名であったことに孝は驚いた。
「ゼウス、オーディン、イザナギ…神話に登場する神達はいたのか。まあ関係ないし、それよりここから出たいのですが」
孝は夢じゃないと思って帰る方法を聞くため、積極的に神達に話しかけた。だがゼウス達は呑気なことを言い出す。
「まあ、それよりもお茶飲もうよ。ほらほら座って、座って」
孝は何かの力で椅子に座らせられ、目の前にお茶が用意された。
「い、いや私帰りたいのですが。って座っちゃったよ!でも、、良いですよねちょっとなら。じゃあ………」
~三時間後
「………っアハハ!って結構話したな。そろそろ行こうかな」
「む?もう帰るのか。何かをあげたいのう………っ!そうだ!あれがあったはず…おーい。オーディンとイザナギも探せい!」
そう孝が言うと、ゼウス達は何かを閃いたように、何かをする準備を始めた。