普通
前書こうとしたの自分でつまんないと思ったからエタる
こんな普通でも『異世界召喚』されるんだぁ…ってあれ?俺のスキル酷くね?
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夏と秋が変わる、未来を知るような空。すべての生命の死を司るような、大樹の枯れ葉。それはきっと予期していたのだろう…
何処から見ても普通すぎる少年がいた。普通すぎる少年の名前は田中 孝、高校2年生だ。背は高2の平均身長ほど、学力も運動も平均的だった。友達もそこそこいて、グループもモブグループ。部活なんかも県で中くらいの部である。孝がいつも通り友達と話していた時、クラスの女子に話しかけられた。
「田中君、クラスに荷物運ぶの手伝ってくれる?」
普段なら迷うかもしれない。だが、相手が相手だったため、すぐに引き受けることにした。
「ああ、別にいいよ」
孝はそう言って友達に別れを告げ、荷物を半分異常受け取った。
「今日荷物多くない?別に余裕で運べるけど」
「そうだね、でも本当にありがとう!」
そう言って孝と荷物を運ぶこの女子は天宮 桜音。クラス委員であり、ミスコン等に出れば、崇拝される程の美少女。本人は嫌がっているが、一部では『聖女神』と呼ばれているレベルの優しい人間である。孝と桜音は2人で荷物を教室に運んだ。孝にとって、聖域的な状態である。でもそんな聖域にも邪魔が入る。
「おい、モブ!」
その声と同時に拳が後ろから飛んできた。痛くはなかったが、孝は少し痛そうにする。そう、あいつがめんどくさいからだ。
「雑魚がよぉ、桜音ちゃんと話してんじゃねぇや」
殴った男は火乃酉 義人、クラスのカースト上位に属する、いわゆる陽キャだ。サッカー部部長、学級委員、親はPTA役員とめんどくさい立場を利用する塵である。それなら自分がやったほうが…と孝が思う程だ。何か起こしても無罪扱い。むしろ逆にしてくることもある。
「ご、ごめんなさい…どうか、腕を下ろして…」(まじでめんどいけど、歯向かうともっとめんどいし…)
心の声が漏れるのを我慢して、孝は弱そうに振る舞った。
「へっ、雑魚過ぎるだろwww」
義人は普段の鬱憤を晴らしているのか、笑顔で殴ってくる。
「義人ぉ~、そんくらいにしておきなよ」
義人はヘラヘラしながら殴るのをやめた。そして軽く義人を軽く止めてた女子、水嶋 留理子は陽キャであり、ギャルでもある。それも質の悪い奴だ。留理子は下位・中位をクラスメイトとして見ておらず、彼女にとっては玩具だ。そんなだからこそ、みんな逆らわない。
「田中君、大丈夫?!
「このくらい大丈夫だよ…」
荷物を置いた桜音は、孝に駆け寄って怪我がないか確認する。そして孝の言葉と、体を見て怪我がなかったため、ふぅ、と息をはき安心した。そんな姿にムカついたのか、義人はまた孝に殴りかかった。だが、さすがに2度目まで食らってしまったら桜音に心配を掛けてしまうと思い、孝は義人のパンチを出来るだけギリギリで避けた。
「…チッ、モブが避けてんじゃねぇよ!!」
(いや、2度同じ技なら避けられるだろ…)
「おい、脳筋とモブ野郎。鞠江様に当たったらどうするんだ!!鞠江様大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ。それにしても貧乏人は脳が小さいのかしら?普通の人間じゃあないでしょうに…」
「まぁ、面白いし良いんとちゃいます?」
そう言って3人がクラスに入ってきた。声を荒らげていたメガネは木崎 佑真 勉強が取り柄のカースト上位だ。その隣で明らか姫プされているのが、金原 鞠江。クラス内でも意外と美人の部類だ。それと佑真と鞠江はガチ主従関係で、みての通り佑真がガチ執事、鞠江がガチお嬢様である。あともう1人は土羅 晃義は、クラスのいわゆるお笑い担当陽キャだ。孝は陽キャ5人を雑に、『陽ナンジャー』と裏では言っている。
「ま、まだ何か…ありますか…?」(とりあえず震えとくか)
「ケッ…やっぱりもう良いわ。てめぇごとき殴るだけ無駄だぜっ…」
「脳筋。そこまでやったらちゃんとボコそうぜwww他のモブも集まってさ」
そう土羅は周囲のクラスメイトを呼び寄せ、そして蹴ろうとし始めた。その時だった。本でよく見る『テンプレ』とやらを目にしたのは。
▽
「んっ…痛っ!」
痛みと共に孝は目を覚ました。始めは寝惚けていたが、いる場所や周りの空気…それが何を意味するか理解するのに時間は掛からなかった。それが分かった頃にはクラスメイト達が段々と起きていた。
「おい、此処何処だよ!」
「私達教室にいたじゃん!何、ドッキリ?」
「鞠江様、大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ。それにしてもこの建物、とても古いわね」
「俺ら、クラスで誘拐されたんか…?」
こいつら静かにしろよ…。孝はそう思っていたが、周りは大体パニック状態だ。それでもパニックにならなかった桜音は孝に話掛けた。
「田中くん、みんなパニってるけど、田中くんは平気だね。それと私何か巻き込まれる気しかしないんだけど…」
孝と桜音は元々、ラノベ好きだったことで仲良くなった。2人でよく考察もしている。それもあってだろう。孝も異世界物のテンプレでしかない気がした。案の定、兵を連れた王のような風格の初老の男が来た。
「私はサピエンティア王国14代目国王、ディミオルゴ・カオス・ユリアードである。そなた達はを異世界に転移させてもらった。それと後々魔王軍・魔物討伐をしてもらうl00ことになる」
その声に覇気と威圧のような何かがあり、耐えられず孝も含めクラスメイト達は、その場に座り込んでしまった。しかし何故だろう、孝は少し軽く感じていた。
(ん?何か少し軽く感じるぞ。アイツの影響か…?)
考える孝。その一方で脳筋が「なんなんだよ!」とか言ってるのをほぼ無視でディミオルゴは話を続けた。
「実は、そちらの世界へ我が子を2人送っていた。来い、イアン、スキア」
王がそう言って呼んで出てきたのはなんと、自分達の高校の新生徒会長・議長の澤野陽仁・陰姫兄妹だった。そしてそれにいち早く反応したのは桜音だった。
「陽仁君と陰姫ちゃん…?!」
桜音にとって陽仁はオーケストラ部と軽音楽部の新部長でジャンルは違うが音楽を共に語った仲間、陰姫は入学当初からの唯一無二の大親友で色んなことを共にしてきた。そんな2人が異世界人で自分を転移させた人達だなんて堪えられなかった。
「どうも皆さんこんにちは、澤野 陽仁改め、イアン・カオス・ユリアードです。そして…」
「澤野 陰姫改め、スキア・カオス・ユリアードと申します。皆様には今から能力調査を行います。出席番号に並んでください」
そして能力調査が行われた。それと同時に浮かれる者が出てきた。
「おい、俺強いんじゃねwww」
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〔名前〕 火乃酉 義人
〔職業〕 戦士
〔素質〕 17/175 ATK53 DFC47 SPD44 MP60
〔能力〕 剣術:Lv.1 格闘:Lv.3 槍術:Lv.1 話術:Lv.3 火魔法:Lv.5 肉体強化:Lv.4 鑑定:Lv.1
〔技能〕 火の鳥弾 魔格闘[火・突・斬] 一時付与[火]斬撃剣[4]
〔称号〕 世界渡りし者 勇者の一角 火行の一族
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「すごくねwwww」
義人こと、脳筋が「俺スゲーwwww」している中、調査していた神官が騒ぎだした。
「な、なんと…!王よ『巫女持ち』が出ました‼それも〔天〕です‼」
一気に目線がそちらにいった。『巫女持ち』とよばれていたのは桜音だった。
「桜音殿、能力情報を開示して戴いても?」
「は、はい!す、〈情報開示〉」
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〔名前〕 天宮 桜音
〔職業〕 天の巫女
〔素質〕 34/299 ATK45 DFC79 SPD68 MP650
〔能力〕 天魔法(風・雷):Lv.5 五行魔法(火水木金土):Lv.3 治癒魔法:Lv2 扇術:Lv2 棒術:Lv3 味方強化:Lv1 看破:Lv5
〔技能〕 天災[暴風・落雷・砂漠・氷結] 五行散弾 ホーリーステージ 一時付与[強化] 巫女舞 ラッシュ[雷・風] カウンター&ラッシュ
〔称号〕 世界渡りし者 勇者の一角 巫女持ち[天] 聖女神 リーダーの器
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「ほう、『巫女持ち』でそれも、[天]か。そして他の称号の『聖女神』と『リーダーの器』…おい、『聖女神』の効果能力はなんだ…?」
「えーっと…あ!桜音殿、この{詳細}ってとこ読んで」
「はい!えーと、{『聖女神』は他のものの為に懸命に動き回り、皆に慕われし者の頂点で人でありながら神の名を許されし者。その者は仲間に慈愛の加護を与え、悪に染められしものを善へと浄化することもあると言う}だそうです!」
それを聞いたが孝はすごいとは思わなかった。いや、思えなかった。そして時が来た。自分の番だからだろうか、汗が出てくる、手が震える、そして調査水晶に手をかざした。
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〔名前〕田中 孝
〔職業〕普通
〔素質〕普通 ATK普通 DFC普通 SPD普通 MP普通
〔能力〕肉体強化:Lv1 格闘:Lv1
〔技能〕普通化
{詳細}思いし理がどんなものも普通と化す。それは敵味方関係なく、与えられし者はその‘概念’からは逃げられない。
〔称号〕 世界を渡りし者 ‘ふtUウ’の人間 勇者…?
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その瞬間、自分がどんな顔になっているか孝はすぐ分かった。それは…“絶望”だ。