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18 素材集めとレベリング




 松里家君との協力を取り付け、王宮の事情についても詳しく調べられるようになりました。


 そして聞く所によると、どうやら勇者を前線に送る準備を早めているそうです。勇者が召喚された、という情報が魔王軍に漏れ、その影響で攻撃が苛烈になっているのが原因だとか。

 恐らく魔王軍は、勇者が戦線に出てくる前にある程度の打撃を与えておきたい、という考えなのでしょう。


 となると、私も少し行動を起こさなければなりません。


 王宮が急ぐというのなら、私も多少は行動を早めに実行していく方がいいでしょう。

 また、戦争がこれから激化するなら、戦時特需というものがあります。より高い利益を上げるために、新商品の開発は必須と言えます。


 という理由で、私は新たな商品を開発することを決定しました。


 しかし、すぐさま新商品開発、とはいきません。というのも、手札がありません。

 私は今まで、私が手に入れられる限りの資源、技術を駆使して商品開発をしてきました。逆に言うと、新たな資源、技術を取り入れなければ新商品の開発は困難ということにもなります。


 どちらかと言えば、資源の方が深刻です。一介の魔道具店が仕入れられる素材では、作れるものに限度があります。

 技術については、まだまだ検証しきれていない廃棄スキルの数々や、未知なる魔法についての知識などがあります。伸び代が分かっているので、それほど不安はありません。


 なので、まずは資源問題から解決することにしました。




「というわけで、ダンジョンへ潜ります」


 私は、従業員の皆さんを呼び集めてそう宣言しました。


「勝手に一人で行けばいいじゃん?」


 有咲さんに冷たいことを言われてしまいました。しかし、ここで引くわけにはいきません。


「いえ。ダンジョンへ潜ると、魔物との戦闘で経験値が得られますからね。私一人よりも、レベル上げを行いたい人を連れていった方が効率的です。つまり、私が魔物を倒すので、経験値だけ仲間に横流しする、というわけです」

「なるほど。いわゆるパワーレベリング、という行為ですわね、乙木様」


 元A級冒険者の妻であり、現在肉食系未亡人のマリアさんが言います。さすが、元冒険者の妻ですね。知識があるようです。


「もちろん、危険が無いよう安全には配慮します。私一人で攻略可能な、簡単なダンジョンを探索するつもりです」

「それでしたら、是非うちのティアナとティオをお連れ下さいな。資源豊富で難易度の低いダンジョンであれば、私の知っている場所もご紹介しますわ」

「おお、それはありがたいですね」


 マリアさんの知識が、とても助けになります。


「ですが、お子さんお二人を連れて行っても大丈夫なのですか?」

「ええ。この子達はいずれ、冒険者になりたいと言っているんですもの。乙木様の庇護下で経験を積めるというのであれば、これ以上に良い機会はありません」

「なるほど。分かりました、責任を持って預からせて頂きます」


 とまあ、流れるように同行者が二人決定しました。


「後は、有咲さんは強制です。理由は以前、お話したとおりです」

「ん? ああ、分かったよ」


 そして、有咲さんにも同行してもらいます。

 カルキュレイターの成長性の程度について確認する為、実戦経験を積む。これについては、以前話してあるので問題ないでしょう。

 ついでにパワーレベリングをして、冒険者のノウハウについても教えます。自分の身を自分で守る術を身に付けておけば、後でいざという時に重宝するでしょうから。


「他には、誰かいませんか?」

「じゃあ、はいはい! 俺も行きたい!」


 そう言って、元気よく挙手したのはジョアン君でした。


「冒険者の活動って、ちょっと興味あったんだ。おっちゃんが教えてくれるなら、先生も許してくれるだろうし」

「なるほど」


 ジョアン君は、将来現場指揮者として責任ある立場についてもらいます。そうなると、多少レベルが高く腕っぷしも強い方が便利でしょう。


「分かりました。同行を許可します」

「よっしゃ! あとさ、おっちゃん。前にローサがおっちゃんとまた遊びたいって言ってたから、ローサも誘っちゃだめかな?」

「ローサさんですか?」


 孤児院で、ローブ作りの指揮と裁縫技術の勉強をお願いしているローサさん。そういえば、最近はお仕事で顔を合わせる以外の時間は少なかったように思います。

 そろそろもう一度交流を深め、繋がりを強化しておく必要があるでしょう。


「そうですね。イザベラさんの許可が出るのであれば、同行してもかまいませんよ」

「わかった! ありがと、おっちゃん!」


 ジョアン君は満面の笑みを浮かべて喜びます。こうも喜んでくれると、頑張りがいがあるというものです。

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