04 乙木の葛藤
会議が終わり、俺は有咲と二人きりで会議室に残ったまま話をする。
「有咲。話したいことがある」
「分かってる。雄一の、神に至る可能性の話でしょ?」
有咲に問われ、俺は頷く。
「俺のステータスは今、こういう状態だ」
分かりやすいように、ステータスボードを表示して有咲にも見せる。
【名前】乙木雄一
【レベル】2697
【筋力】SSSS+
【魔力】SSSS+
【体力】SSSS+
【速力】SSSS+
【属性】なし
【スキル】ERROR
内藤を殺した段階でレベルが二千六百を超え、ステータスもSSSS+に到達した。
魔物の進化と同様のことが起こる、という疑いが出た時点でレベル上げを止めたものの、それでもSSSS+に到達してから少しはレベルが上がってしまった。
どの程度でSSSSSに到達するかは分からないものの、猶予は少ないと考えた方がいいだろう。
「多分、俺は神に至る条件を二つ達成している。一つはスキルエラー。もう一つは、内藤を殺してそのスキル、魂を奪い取ったことで成長したはずの魂の大きさ。そして、このまま何も考えずにレベルを上げれば」
「ステータスもERRORになっちゃうかも、ってことだよね」
言うと、有咲は俺に抱き着いてくる。
「居なくなっちゃ、ヤダよ」
「分かってる」
それ以上、余計な言葉を発さないまま、有咲と抱き合う。
不安を溶かすように、じっとお互いの存在を確かめ合うように。
やがて、納得したように自然と有咲の方から離れていく。
「まあ、雄一のレベルって異常に高いわけだし、普通にしてたらまずレベルは上がらない。戦う必要がある場面も、今は少ないでしょ?」
「ああ。乙木商事の戦力もあるし、仲間も居る。俺だけで戦わなきゃいけないことなんて、そうそうあることじゃない」
言うと、有咲は俺にデコピンをしてきた。
「あっても、戦っちゃダメ! 他のヤツらに任せて、どーんと構えてりゃいいんだから!」
「そう、だな」
有咲の言葉に納得し、頷く。
たとえ今後、強敵が現れたとしても、俺が直接戦うようなことは全力で避けるべきだろう。
ただ、一つだけ懸念点がある。
仲間も、乙木商事の戦力でも対応できない敵対者が現れた場合。
例えば内藤のような存在や、それ以上の外敵が現れたなら。
俺は、どうするべきなのだろうか。
見逃すことで、大切な家族にまで危険が及ぶような事態になるのなら。
俺はそんな事態に陥った時、どんな選択をするべきだろうか。





