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01 意識のすり合わせ




 勇者アヴリルは女神だった。

 そして俺たち召喚者が神に至る条件も、おおよそではあるが推測可能となった。


 これらの情報を共有するため、俺はまた有咲、シュリ君、松里家君の四人と会議を開く。


『なるほど。状況を整理するとつまり』


 前回同様、遠距離通信で会議に参加しているシュリ君が語る。


『ステータスオールSSSSSになって、しかも勇者同士で殺し合いをすると神様になっちゃう、ってのが現状のリスクなわけだね?』

「ええ、そうなるかと思います。その上で、この情報をどこまで、どのように公開するべきか、皆さんと話し合っておくべきかと思いまして」


 俺の言葉に、難しい表情を浮かべて松里家君が言う。


『殺し合うことでチートスキルを奪える。この情報は出すべきではないでしょう。勇者アヴリルの手記にあったとおり、いらぬ争いの火種になります』

「ええ。だとすれば、どうやって殺し合いをしてはいけない、と周知するべきかと思いまして」


 周知しなくても殺し合いには発展しない、というのは楽観視が過ぎるだろう。

 内藤という存在がいたことを考慮すると、自分の目的の為に同じ召喚者を殺そうとする者が居てもおかしくはない。


 それに、乙木商事と関わりのある召喚者だけではない。まだ国や、貴族に抱え込まれたままの召喚者もいる。

 そういった召喚者にも、ちゃんと殺し合いを抑止するような形で情報を伝えなければならない。


「最初の懸念点をさ、利用しようよ。召喚者同士が殺し合うと、魔物みたいな化け物に変わっちゃう可能性があるとかさ」

「なるほど。生理的に嫌がる形で、一部真実を含む情報を広めるわけか」


 有咲の提案に頷く。

 望んで化け物になりたがる召喚者が居る、という可能性も無くはない。が、さすがに何の情報も伝達せずに召喚者同士が殺し合う可能性よりは遥かに低いだろう。


『全体への通達はそれで良いとして、一部の者にはある程度真実を伝えておくべきではありませんか? 例えば蛍一には、召喚者同士で殺し合うとスキルが奪われ、それが神に至る条件の一つになってしまうことは伝えておくべきでしょう?』

「確かに。管理する立場にある人、そして神に至る条件を満たしかねない人にはより詳細な情報を伝えて、回避手段だけは教えておくべきでしょうね」


 金浜君のステータスは、確か全てSSSS。俺以外の召喚者の中では、一番ERROR表記に近いはず。

 正義感から内藤と対立していた金浜君であれば、何も知らずに敵対的な召喚者を殺してしまい、神に至る条件を満たしてしまう可能性がある。


 他にも、高いステータスを持つ召喚者で、信頼できる者にはしっかりと伝えておくべきだろう。


「では、金浜君を筆頭に高ステータスを持つ召喚者については、情報を漏らさないだろうという信頼がある場合に限り、神に至る条件の詳細は伏せたまま、回避方法を伝えましょう」

『具体的には召喚者同士で殺し合わない。レベルを上げすぎない。こんなところでいいんじゃないかな?』

「では、それでいきましょう」


 シュリ君の提案に乗ることにする。


 これで、判明した情報をどのように扱うかはほぼ決まったと言っていいだろう。


「さて。では、次の議題に移りましょうか」


 俺は話を切り替える。


「召喚者が神に至る、その条件について。情報がかなり出揃った今、より詳細に分析できるようになりました。今一度、改めて考えましょう」

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