08 龍神洞
翌日。私たちは龍神への伝言の結果を聞くため、里長の下へと向かいます。
「龍神様は、お客人にお会いすると仰ったそうだ」
里長はしかし、難しそうな表情を浮かべています。
「何か問題が?」
「うむ。龍神様はお会いしてくれるそうなのだが、姫巫女がな」
里長は首を横に振ります。
「アレがお客人への同行を拒否しおってな。他の巫女達も、姫巫女に言われておるので同行は難しい」
「なるほど。つまりこのままだと、私は龍神様とお会いしても会話が出来ない、ということですね」
「そうなる」
しかし、里長が悩んでいるのはこの問題そのものではない様子。
「実は、姫巫女が条件次第では同行すると言っておる」
どうやら、ここからが本題のようです。
「シャーリーを里から追い出す。二度と帰ってくることを許さない。これを約束するならば、同行してもよいと言っておったのだ」
なるほど、それで里長は困っていたのですね。
「雄一さん、私は」
シャーリーさんが何かを言いかけますが、手で遮って私が先に話します。
「シャーリーさんに付いてきてもらいますので、問題ありません」
「しかしシャーリーは」
「私のスキルで守ることが出来ます。体調に影響があるようなら、途中で引き返します」
私の言葉に、里長は真剣な様子で視線を合わせて来ます。
「可能なのだな?」
「はい」
私は視線を逸らさず、里長の返答を待ちます。
時折里長は私から視線を外し、シャーリーさんの方を見ているようです。
しばらく間を置いてから、里長は息を吐いて、口を開きます。
「分かった。二人が龍神様の住まう場所、『龍神洞』へと入ることを認めよう」
これで、無事龍神と会うことが出来そうですね。
「ありがとうございます」
「なに、自信があるようだったのでな。それに、シャーリーも文句一つ言わず、お客人を信じておるようだ。拒否するようなものでもあるまい」
こうして、里長から許可を貰うことが出来ました。
龍神の住まう『龍神洞』へ向かいましょう。
龍神洞へと向かう道中。昨日見た姫巫女が遠くからこちらを睨んでいる様子が確認出来ました。
それにシャーリーさんが萎縮する様子を見せたので、私は肩を抱き寄せます。
「心配無用です。行きましょう、一緒に」
私の言葉に、シャーリーさんが肩の力を抜きます。
「はい。行きましょう、雄一さん!」





