04 実家
その後。龍神からの返答を貰うまでに時間が掛かるそうで、この日はひとまずシャーリーさんの実家で一泊させていただくことになりました。
サヴァンさんに案内されながら、シャーリーさんの実家へ向かいます。
「シャーリー」
「はいっ」
道中、それまで黙りっぱなしであったサヴァンさんが口を開きます。
「外の暮らしはどうだ」
「えっと、楽しく暮らせてるよ。雄一さんも良くしてくれてるし、仕事も楽しいんだ」
シャーリーさんは本心からそう思ってくれているようで、笑顔で楽しそうに語ります。
「そうか」
サヴァンさんの答えはそれだけでした。
反応の薄いサヴァンさんに、シャーリーさんは少しだけ悲しげに俯きます。
ただ、私にはサヴァンさんが、何か安堵して表情を緩めたようにも見えました。
あまり他所の家庭の事情に口出しをするのも良くないかと思いましたが、このまま放置するのも良くなさそうです。
私は何か声を掛けようと考えますが、そこでちょうどシャーリーさんの実家に到着してしまいます。
「ここが我々の家だ」
言うと、サヴァンさんは扉を開いて中に入ります。
すると入れ替わるように、家の中から一人の女性が飛び出して来ます。
「シャーリーっ!」
「お母さん!」
飛び出してきた女性はシャーリーさんの母親であるらしく、そのまま勢いよくシャーリーさんを抱きしめます。
シャーリーさんは困惑している様子ですが、母親の方は構わずシャーリーさんに声を掛けます。
「大きくなったわね。ご飯も、ちゃんと食べてるのね。顔色も良いし、よく肥えてるわ」
「もうっ! 肥えてるなんて、失礼だよお母さん!」
「うふふ、そうね。ごめんなさい。シャーリーも大人の女性だものね」
娘の成長を噛みしめるように言ってから、シャーリーさんの母親はこちらに向き直ります。
「はじめまして。私がシャーリーの母。シエラです」
「ご挨拶が遅れました。私はシャーリーの夫、乙木雄一です。今日はよろしくお願いします、シエラさん」
「ええ。ゆっくりしていってくださいな」
シエラさんは私たちを歓迎してくれている様子。
「良ければ、外でのシャーリーの暮らしぶりについて教えてくださいな」
「ええ、もちろん」
こうして、トラブル無く私たちは迎え入れてもらえることになりました。
その後、夕食をシエラさんが準備する間、私とシャーリーさんは手持ち無沙汰になりました。
せっかく時間がありますのでシャーリーさんと色々話し合いをしておきたいところです。
「シャーリーさん、少しお話したいことがあるのですが、いいでしょうか?」
「えっと、はい。秘密の話ですか?」
「まあ、どちらかといえば」
「では、私の部屋でしましょうか」
そうして、私はシャーリーさんの部屋に案内されました。





