02 里長との面会
龍神の魔力と思われるものが、進むほどに濃くなっていきます。
「シャーリーさん、体調はどうですか?」
「はい、問題ありません。コレもありますし」
言って、シャーリーさんはペンダント型の魔導具を掲げます。
シャーリーさんが龍神の魔力で体力を崩さないよう、周囲の魔力の影響を遮断、軽減するような効果を発揮する魔導具を作り、装着してもらっています。
これがあれば、少なくとも集落の中での行動ぐらいでは体調を崩すことは無いでしょう。
そんなやり取りをした直後。見通しの悪い林道を徐行する輸送車両の前に、戦士らしい装備に身を包んだ集団が姿を表しました。
「何者だ! ルーンガルド王国の許可無き者はこの先に進むことを許されない! 即刻引き返せ!」
先頭に立つ、リーダーらしい立派な装備に身を包んだ男性が声を張り上げます。
それを見て、驚いた様子のシャーリーさん。
車両の窓から身を乗り出し、手を振って声を掛けます。
「お父さんっ! 私だよ、シャーリー! 話したいことがあるの!」
その言葉に、相手方のリーダーや私も含めた、全員が驚きを表情に浮かべます。
「シャーリー、なのか?」
「はいっ!」
「っ、事情は分からんが、ひとまずここで待て! 里長の判断を仰ぐ!」
そうして、リーダーこと、シャーリーさんの父親は一人で森の奥へと走って行きました。
残された戦士たちは私たちを、というより見たことのない乗り物である輸送車両に警戒しているようで、鋭い視線と気配を緩めるつもりが無いようです。
「なんとか、上手くいきそうですね」
「だといいのですが」
シャーリーさんは確信があるのか、笑顔でそんなことを言いました。
しばらくすると、シャーリーさんの父親が戻ってきます。
「里長の所へ案内する。その魔導具はこの場に置いていってくれ」
あちら側からすれば、輸送車両の危険度が測れない以上、当然の判断でしょう。
輸送車両を降りて、そのままシャーリーさんの父親について進みます。
やがて龍の里に到着します。周囲を木の柵で覆った、簡素な守りに囲まれた集落に見えます。建物も、この森で手に入る素材だけで作られているようで、あまり近代的ではない様子。
案内されるがまま、扉の無い門をくぐって龍の里へと入ります。
奥に進むと、一際大きな建物があり、どうやらそこを目指している様子。
「件の者たちを連れてきた」
シャーリーさんの父親が言うと、扉を守っていたらしい兵士は脇に寄って、扉を開きます。
そのまま扉をくぐり、中へと案内されます。
到着したのは、いかにも里長といった風貌の、里で取れる素材で出来ていると思われる装飾品に身を包んだ老人でした。
「よく来たね、シャーリー。それと、お客人」
里長は、私と、そしてシャーリーさんも歓迎するように口を開きます。
「お久しぶりです、里長」
シャーリーさんも里長には含む所が無いのか、笑顔で応対します。





