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17 死の必要性




「乙木さんは、内藤は死ななければいけないと考えているんですね」


 金浜君は質問で返してきました。が、これには答えておきましょう。


「私個人の考えは関係なく、内藤の死は避けられません。これだけの大事をしでかしておいて、無罪放免とはいきません」

「乙木さんでも、庇えませんか?」


 金浜君の期待も含んだ問いに、私は首を横に振ります。


「庇えませんよ。彼程の大罪ともなれば、その恨みは相当なものです。それを私が、乙木商事の会長が庇うとなれば、復讐、報復の対象となるのは乙木商事の社員達になります。何の罪も無い社員を危険に晒してまで、彼を庇うようなことは出来ません」

「なら、内藤の死を偽装すれば」


 続けての金浜君の提案にも、私は否定を返します。


「それも無理でしょう。内藤が己の罪を認め、反省し、大人しくするというのであれば不可能でもありません。しかし、彼はいずれ再び同じことを繰り返す質の人間でしょう。結局その時に全てが露見するでしょうから、偽装する意味がありません。むしろ、世間の悪感情を余計に増幅するでしょうね」


 その言葉に、金浜君は俯きます。

 たとえ罪人であろうとも、元クラスメイト。その生命を奪うというのは、酷なことでしょう。


 ですが、金浜君はすぐに顔を上げて、私に向かって言います。


「分かりました。それなら、俺も覚悟を決めます。内藤に降伏するよう宣言して、説得して、それでも反省しないようなら。俺が、ヤツを斬ります」


 どうやら覚悟が決まったようです。


「分かりました。ですが、金浜君が一人で背負うわけではありません。私も、内藤を殺すつもりでここに来ています。背負う罪は半々ですよ」

「あはは。そう言ってもらえると、少しは気が楽になります」


 と、金浜君は口では言ったものの。本心から気が晴れた様子は無く、随分と強張っている様子。

 少々心配にはなりますが、これ以上は語ってどうにかなる問題でもありません。

 大人しく、内藤の本拠地。恐らくは城で待ち構える彼の下へと向かいましょう。




 その後も罠などは一切無く、何のトラブルも無いまま城へと到達します。

 そのまま唯一、人の気配のする方へと進んでいくと、私達は玉座の間の前へと到着しました。


「居ますね」

「ええ」


 私が言うと、金浜君も同意し頷きます。

 この玉座の間の向こうに、唯一の人の気配が。それも、隠す気もさらさらない様子で、膨大な魔力を垂れ流しながら待ち構えています。


 金浜君が先頭となって、玉座の間の扉を開きます。


 そして、その先で待っていたのは。



「よう。待ってたぜェ、勇者様」



 玉座に腰を掛けた内藤が、待ち望んでいたかのように言いました。

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