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30 洞窟ドワーフ




「それにしても、乙木さんが冒険者をやめるとなったら、少しさびしくなっちゃいます」


 シャーリーさんはそう言って、顔をうつむけます。


「今だからこそ正直に言いますね。私、乙木さんのような素敵な冒険者さんの力になりたくて受付の仕事を選んだんです。だから、乙木さんがいなくなるって思うと、やりがいが薄れるってわけではないんですけど、気が抜けちゃうといいますか」

「そこまで私を評価してくださって、ありがとうございます。でもそんなに私は良い冒険者ですかね?」

「当たり前です!」


 私が聞くと、シャーリーさんは身を乗り出して力説します。


「乙木さんは真面目で実力があって、マナーも良いですし。全部揃ってる冒険者さんなんて、王都でもほとんど見ませんよ。高ランク冒険者さんならいるかもしれませんけど、そういう人は上のお抱えなのでこっちの受付には顔を出しませんし。私にとって、身近な理想の冒険者さんが乙木さんだったんです! 本音でいうと、憧れてます! 乙木さんに!」


 憧れている、とまで言われると嬉しくなってしまいますね。感謝の意を伝えておきましょう。


「ありがとうございます、シャーリーさん。こんなキモい私のことでも偏見無く受け入れてくれて、嬉しく思います」

「そんな、乙木さんがキモいだなんて! むしろ、可愛い部類じゃないですか!」


 シャーリーさんの発言に、私は首をかしげてしまいます。

 はて。私は可愛いと言われるような顔はしていなかった気がしますが。ここ最近は鏡を見ていないので、もしかしたら回復魔法の使いすぎで顔が変形してしまったのかも知れません。


「あの、シャーリーさん。お手数ですが、私の顔の特徴について教えて頂いてもいいですか?」

「はい?」


 突拍子のない要求に驚きながらも、シャーリーさんは応えてくれます。


「目の下に隈があって、目が落ち込んでて、痩せ気味で、髪がボサボサで、猫背ですね」

「紛れもなく私ですねぇ」


 どこが可愛いのか理解が出来ません。


「ちなみに、私のどこが可愛いのでしょうか?」

「どこって、全体的にでしょうか。洞窟ドワーフにそっくりで可愛らしいと思いますよ」

「洞窟ドワーフ」


 これは初耳ですね。私の完全記録スキルにも情報がありません。


「ちなみに、その洞窟ドワーフというのはどういう存在なのでしょう?」

「えっ? 乙木さん、洞窟ドワーフを知らないんですか?」


 知らない方が変だ、というような言い方をされてしまいます。それほど有名なら、なぜ散々調べ物をした私が知らないのでしょう。不思議ですね。


「洞窟ドワーフというのは、子供向けのおとぎ話によく出てくる架空の人種です。色んなおとぎ話の中で、大変な目にあった人に親切にしてくれる小人なんです。不思議な力をもっていて、人間のことが好きでいつも見守ってくれている。そういう存在なんですよ」

「おとぎ話ですか。そういうものには疎くて」


 何しろ、異世界人ですので。というのは黙っておきましょう。

 しかしおとぎ話であれば、確かに知らないのも納得です。そういう情報は調べても直接の利益にならないので、そもそも調べていないのです。


「子供向けのおとぎ話では必ず出てきますし、とても良い隣人として描かれるので、世の中のほとんどの人は洞窟ドワーフのような外見を見れば親しみを覚えると思いますよ。乙木さんは洞窟ドワーフみたいで可愛いよね、って受付嬢の間でも話題になってましたし」

「そこまでなのですか」


 思っていた以上に、この世界で私の外見は評価が高いようです。

 可能性を感じます。何の可能性とは言いませんが。


 それに、この外見が洞窟ドワーフにそっくりだと言うなら、客商売で上手く利用できるに違いありません。

 接客や接待で美人を使うのは基本ですが、この世界では私の顔も上手く使えそうな気がします。洞窟ドワーフの顔というだけで、初対面の人に親しみを持ってもらえそうですし。何かと役に立つでしょう。

 当分は店を開いても自分だけで働くことになるはずですし。外見で良い印象を抱いてもらえるのはプラスに働くでしょう。




 ちなみに後日、本を読む機会があった時に洞窟ドワーフの出てくる絵本があったので読ませてもらいました。

 肖像権の侵害かな? と思うほど私にそっくりでした。

本日の投稿分はここまでとなります。

いよいよ、乙木のスキルチートぶりが発揮されだしましたね。

ここから乙木の成り上がりと無双が始まります。


今後もぜひ、乙木の活躍とヒロインたちとのラブコメをお楽しみ下さい。

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