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10 興奮する聖女




 週休二日制作戦が無事成功した、その日の夜。

 私個人の天幕で休んでいたところに、近寄る人影がありました。


「乙木さん、少しいいですか」


 天幕の外から声がかかります。

 声は三森さんのものでした。


「ええ。どうぞ、入って下さい」


 私が許可をすると、天幕の中へと三森さんが入ってきます。


「どうされたんですか?」


 何の用件なのか問い掛けますが、三森さんは俯いたまま何も言いません。


「三森さん?」


 なにやら様子がおかしいので、再び呼びかけます。

 三森さんは緊張しているのか肩が震えており、顔も少しばかり赤いようです。


「三森さん。私にできることであれば、何でもしますから。まずは、何があったのか話していただけませんか?」

「本当にっ? 何でもですか!」


 三森さんの緊張を解すつもりで言うと、三森さんはガバリと顔をあげ、勢い良く尋ねてきます。

 突然の勢いに困惑しながらも、私は頷きます。


「え、ええ。できる範囲であれば」

「言いましたね! 今何でもって言いましたねっ!」


 言うと、三森さんは勢い良く私へと飛びかかってきます。

 予想外の行動に私が回避できずにいると、三森さんはなんと、私の腰に掴みかかってきます。

 そしてズボンに手を掛け、私の股間に向けて声を上げます。


「乙木さんっ! どうか私に、貴方の臭くて白いのをお恵み下さいッ!」


 ああ。三森さんは混乱しているようです。




 その後、私のズボンを引きずり降ろそうとする三森さんをなんとかなだめて事情を聞きます。


 三森さんは、以前から私の体臭を異常に好んでいました。それは以前から知っていたことです。着用済み衣類等をやたら要求されていましたので。

 それが今回の作戦中に使われた欲望を増幅する魔法により暴走した、というのが三森さんの主張です。


 涼野さんの魔法は敵味方識別して適用されていた上、三森さんの魔力に対してはほぼ無力だったはずです。

 なので、あったとしてもプラシーボ効果のようなものしか無いはずなのですが、それはともかく。


 そうした経緯でついに我慢できず本丸(意味深)に突撃してきたというわけです。


「なので乙木さん。大人しく脱いで下さい」

「え、いやですが」

「何でもするって言いましたよね?」


 できる範囲で、と言ったのは無視されているようです。


「三森さん、どうしてもしたいんですか?」

「はいっ! もう我慢できません。もう身体の内側から乙木さんの臭いで全てを塗り替えてほしくてたまらないんですっ!」


 妖艶な仕草で自分の身体を抱えるようにしながら、三森さんは言います。


「それに、もしここでダメだと言うようでしたら、奥さんに告げ口しますから」

「逆効果では?」

「いえいえ。ここまでしたのに乙木さんが抱いてくれなかった、愛人にもしてくれなかったと言えば、奥さん方は同情してくれるはずです」


 確かに。日本的に考えれば貞操を守ったという意味でプラスに見られますが、異世界的に考えれば甲斐性無し、根性無し扱いです。

 似たような理由も含み、八色さんを娶るよう散々に叱られた記憶があります。


「ええと。それはつまり、私に三森さんを愛人、あるいは妻として扱ってほしいという解釈で間違い無いですか?」

「はい。抱いていただけるのであれば妻でも愛人でも性奴隷でもかまいませんっ!」


 目がキマっていて怖い三森さんが堂々と頷きます。怖い。


「三森さんは私のことを愛していると?」

「はいっ! 乙木さんの体臭を愛しています」

「体臭」

「はい。あ、でもその次ぐらいに乙木さん本人のことも好きですよ? 父親的な安心感があって」


 私本人よりもその体臭が上というのは気になりますが、少なくても気持ちの無い肉体関係、というわけでは無いようです。

 となれば、仕方ありませんね。


「わかりました。私も覚悟を決めましょう」

「そ、それはつまり!」

「はい、三森さん。いえ、沙織さん」

「ひゃいっ!」

「愛し合いましょう」


 と、いうわけで。

 この日の夜、私は三森さんと関係を結ぶこととなりました。

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