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01 緊急帰国




 内藤組が攻め込んできた。その報告を受け、私達はすぐさまルーンガルド王国へと引き返しました。

 部隊全体の指揮はジョアンさんに任せ、私は少数精鋭のみで先行して帰還します。一刻も早く、詳細な情報を乙木商事の本社から手に入れる為です。


 私に同行しているのは、八色さんとメティドバン。ティアナさんにティオ君。そして最速での行軍をするために必要最低限の部隊員のみです。


 行きの道程よりも遥かに速く、かつ効率的に進んだ為、大森林自治区との境界に最も近い乙木商事の拠点に戻るまで二日の時間で済みました。


 拠点に到着すると、私はすぐさま施設の通信設備を使い、本社の有咲と連絡を取ります。


「有咲。状況を教えてくれ」

「ああ。ルーンガルド王国に攻め込んできたのは、近隣の三国。バロメッツ公国、アデルタンド王国、サダルカーン王国。その中でも、元ルーンガルド王国の大公家から分かれたって経緯があるバロメッツ公国が、内藤の拠点になってるみたいだよ」


 そうして、有咲から私はさらに詳細な情報を聞き出します。


 敵である内藤組の戦力は、三国の常備軍に加え、一般市民や冒険者からも徴兵した義勇兵も含む総勢二万の軍勢。

 しかも、その多くが恐らくは内藤のスキル『洗脳調教』の影響を受けている様子とのこと。

 本人たちが嫌がりながらも、行軍の歩みは止まるどころか、遅くもなりはしない。何らかの強制力があるスキルの影響がなければあり得ない状況です。


 さらに、バロメッツ公国との国境線から進軍してくる敵軍の中には、有咲のクラスメイト達であり、内藤組の勢力に組み込まれていた召喚者の姿もあるそうです。

 金浜君や三森さんも、この召喚者たちと交戦したとのこと。


 そして召喚者達も、他の敵兵と同様、あるいはそれ以上に強く洗脳調教の影響を受けていたのだとか。

 戦いを嫌がりながらも、一切の手加減無く襲いかかってくるクラスメイトに、さすがの金浜君達も手を焼いた様子。

 結果、こちら側が少なくない被害を受けたというわけです。


「厄介だな」

「だね。このままだと、こっちから攻め込む事もできない。向こうは戦う意思が無いのに戦わされている人間ばっかりだもんな。防衛戦はともかく、こっちから攻め込んで制圧、なんてどれだけの被害が出るか分からないよ」


 敵とはいえ、望まずに戦場に立っている人たちです。問答無用で敵として切り捨て、戦争の被害者とするのは非道な行いと言えるでしょう。


「となると、直接の戦闘以外の手段で戦力を削ぐ必要があるな」

「うん。雄一なら、どうする?」


 有咲に問われ、私は少し考えた後、答えます。


「まずは物資の供給を絶ち、敵軍を干上がらせよう」

「だよね。アタシも、そうすると思った。もう既に、ある程度準備を済ませてるよ」


 有咲も同様の答えに至っていたようで、安心します。


 敵軍が軍として機能するためには、洗脳による戦闘の強要だけでは足りません。食料を始めとする、あらゆる物資が必要となります。

 それらの供給を、乙木商事の力を用いて絶ちます。ルーンガルド王国から三国に出てゆく物資の遮断。そして逆に、三国から資源を買い占め、干上がらせます。


 そうすれば、いくら強要されていたとしても、軍は軍として行動することが出来なくなります。戦闘不能とまでは行かずとも、戦闘能力を大きく削ぐことは出来ます。

 直接戦闘による泥沼の殺し合いを続けるよりは、被害を少なく抑えることが出来るでしょう。


「じゃあ、よろしく頼む有咲。こっちもできる限り、早くそっちに戻る」

「うん、分かった。待ってるから」


 こうして通信を終え、私は一刻も早く乙木商事本社へと戻るべく行動を開始します。

お久しぶりです。投稿再開です。

今回の十章が完結するまでは連続投稿していきます。

普段よりも少し短くなってしまっていますが、よろしくお願いします。


そして、本日より本作のコミカライズ第2巻が発売となります。

もしよろしければ、皆様お手にとって読んで見てください。

キャラクター達が生き生きと表情豊かに描かれていて、とても魅力的になっています。

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