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25 戦後処理




 メティドバンの降伏後。反乱軍の鎮圧は、無事完了。こちら側は一切の犠牲者を出すことなく、反乱軍側も負傷者こそ出たものの、死者は無し、という結果で終わりました。

 最高の結果とも言える戦果を上げて、魔王軍の皆さんと共に、私達は魔王城へと帰還しました。


 そして魔王城に帰還し、一泊の休息を置いてからの翌日。戦後処理として、反乱軍の扱いと、我々乙木商事の人間への恩賞を決める為の会議が開かれます。


「では、まずは反乱の首謀者、メティドバンへの処遇から決定しようかの」


 会議に集まったのは、ヴラドガリアさんに側近のサティーラさんと、宰相のイチロースズキさん。そして現在の唯一の生存する四天王であるレオニスさん。さらに当の本人であるメティドバン。

 乙木商事からは私ただ一人が出席者となっています。


「現在は深く反省もしており、情状酌量の余地もあるとは言え、反乱軍を結成し、魔王軍全体を混乱に陥れ、犠牲者を出しかねない状況に追い込んだ罪は軽くないのじゃ」

「承知しております、魔王様」


 ヴラドガリアさんの言葉に、メティドバンは深く項垂れます。


「よって、メティドバンは魔王軍七武将の地位を剥奪。及び、今後無期限の謹慎処分とする」

「魔王様、お待ち下さいッ!」


 そこで声を挟んだのは、レオニスさんです。


「こやつは魔王様に自ら弓を引いた愚か者です。しかし、決して邪悪な男ではありませぬ。地位や権力を求めて反乱に加わった一部の者共とは違いますッ! どうか、どうか寛大な処置をお願い申し上げますッ!」


 レオニスさんは深く頭を下げ、メティドバンの処遇を軽くしてもらえるよう、ヴラドガリアさんに頼み込みます。

 それに誰よりも驚いているのは、他ならぬメティドバン。


「れ、レオニス殿。なぜ庇うのです? 私とは決して、友好な関係ではなかったはず」

「ああ、その通りだ。むしろ、お前の小賢しさにイライラして衝突したことも数知れぬ。だが、だからこそ吾輩は知っている。お前の心根が、決して邪悪なものではないと。真に魔族の未来を憂い行動出来る男であると」


 レオニスさんの言葉に、感激した様子でメティドバンは肩を震わせ、俯きます。


「まあ待て、レオニスよ。そう判断を早まるでない。本題はここからであるぞ?」


 ヴラドガリアさんは、そんな二人の様子を見ながら、茶目っ気のあるウインクと共にそんなことを言います。


「さて。では次に決めねばならぬのは乙木殿への恩賞じゃな。反乱軍鎮圧の為の戦力の提供に加え、本人もメティドバンの捕縛に協力しておる。今回の一番の功労者でもある乙木殿には、我が魔王軍から送れる最大の恩賞を贈ろうと思う」


 言うと、ヴラドガリアさんは傍らに立つサティーラさんに視線を向けます。

 サティーラさんは頷くと、一枚の書類を取り出します。


「今回の戦の間、私は単独で各州を周り、この許可証を手に入れてきました。大森林自治区の管理官の認定証です。魔王様は、以前より今回の件が片付きましたら、こちらを乙木殿へ、と考えていらっしゃいました」


 その言葉に、今度は私が驚きから目を見開きます。


「いいのですか? そんなに大層なものを、これだけで貰ってしまって」

「構わぬよ。元より乙木殿には、最終的に大森林自治区を治めて貰う予定であったからな。今回のことで、多少性急にでも話を進めてしまう方が良いと判断したのじゃ」

「それに加え、乙木さんは既に大森林自治区の部族と友好的な関係にありますからね。決して時期尚早、というわけではないと思われます」


 私の問いにヴラドガリアさんが答え、さらに補足するようにイチロースズキさんが語ります。

 確かに、既に大森林自治区のヴァの民と呼ばれるゴブリンの一族と関わりがあり、その関係もあって今回乙木商事の部隊がスムーズに魔王城まで到着出来たという面もあります。

 全くの準備なし、というわけでもありませんので、悪い展開ではありません。


「ですが、かなり無理をしたのでは?」

「全くだ。今回の準備のために、どれだけ魔王様が心を尽くしたか」

「よせ、サティーラ。それは良いのじゃ」


 なるほど。ヴラドガリアさんが無理を通してくれたようです。反乱軍まで出して、あげくここまでの立ち回りをしてくれたとなると、相当立場を悪くしたころでしょう。


「本当に、ありがとうございます」


 私はヴラドガリアさんに頭を下げます。


「ふふ、構わぬよ。それよりも、ここからが大事な話じゃ」


 そうして、ヴラドガリアさんは再びメティドバンへと視線を向けました。

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