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20 砦制圧




 包囲され、逃げ道もなく、砦を守る防壁も壊され、先日の破壊工作で物資も残り少ない。このような状況で戦う意思が維持できる者は少なく、砦からはぞろぞろと捕虜となる反乱軍が並んで出てきます。


 そんな彼らを、我々の軍が拘束し、次々と無力化。

 そんな流れ作業じみてきた光景を横目で見ながら、私は突入部隊の隊列の方へと向かいます。


 突入部隊は精鋭中の精鋭。魔王軍の人員は含めず、乙木商事の戦力のみで編成されています。

 これは、非殺傷武装が我々乙木商事だけが装備しているものである為です。魔王軍の精鋭は、私達が捕縛出来なかった、漏れた反乱軍の捕縛を後方で任せます。


 そうして、隊列の先頭に到着。そこには魔王軍から唯一の参加者であるヴラドガリアさん。そして乙木商事の最精鋭である八色さん、ティオくん、ティアナさん、そしてジョアンさんが立っています。


「では、これから部隊の振り分けを行います。基本は、最低でもツーマンセルを維持して下さい。人数不利状況なら撤退。他部隊と合流し、安全な制圧を優先して下さい」


 私は言うと同時に、部隊振り分けのデータを全員に送信します。部隊員が装備しているゴーグルには、今私が送った情報も含め、様々な有用なデータが表示可能となっています。


「また、敵戦力の中でも最重要人物であるメティドバンを発見した場合も即座に撤退して下さい。部隊の誰も、いかなる状況であっても交戦を禁じます。対メティドバン戦力として、私と魔王ヴラドガリアさんが出撃しますので、こちらに連絡を回して下さい。即座に向かいます」


 作戦としては単純。一般兵は部隊の皆さんに任せて、最も危険なメティドバンに関しては私とヴラドガリアさんという最高戦力二人で当たります。

 破壊工作作戦の時、八色さんでも苦戦するほどの相手でしたからね。さらなる切り札が存在する可能性を考えると、安全に交戦可能な戦力は現状だとこの二人しかいません。


「では、各自最終調整を。只今より五分後、突入開始の通信と同時に作戦を開始して下さい」


 私からの通達は以上。続いて、ヴラドガリアさんが前に出ます。


「お主らには、負担を掛けることになると思う。じゃが、反乱軍とはいえ妾の大切な部下でもあるのじゃ。どうか、可能な限り命は奪わずに無力化を頼むのじゃ。そして、お主らも命を大事にしてほしいのじゃ」


 そう言って、ヴラドガリアさんは頭を下げます。


「頼む。妾の部下達を、助けてやってくれ」


 その姿に感銘を受けたのか、部隊の皆さんの士気が上がったように見えました。


 その後、作戦開始まで各自準備を整えます。装備の点検を行い、突入開始の通信を待ちます。また、部隊によっては突入箇所が異なるため、そうした一部の部隊は別の場所へと展開。ジョアンさんと八色さんが率いる第二分隊が左翼に。ティオ君とティアナさんが率いる第三分隊が右翼に向かっています。

 そして私とヴラドガリアさんと共に正面突入する、最精鋭の第一分隊。以上の三分隊で、突入作戦を実行します。


「作戦、開始です」


 各自の装備したゴーグルに、突入開始の通信が入ります。私も皆さんと同じものを装備してありますので、通信をしっかり確認。


「行きましょう、ヴラドガリアさん」

「うむ。一刻も早く、メティドバンの奴を止めてやらねばな」


 メティドバンは、いざとなればこちらの部隊員を殺すことも厭わないでしょう。何しろ、人間を恨む、地中海の民の生き残りなのですから。


 そうなる前に、私とヴラドガリアさんでメティドバンさんを止めなければなりません。

 二人で、誰よりも早く、砦へと突入します。


 後ろに続く部隊員達も、スムーズに砦へと侵入し、作戦を実行しているようです。麻酔弾を装填した魔導銃に、魔導スタンガン。他にも捕縛用ネット等、敵の拘束、無力化を優先した武装を使い、遭遇した反乱軍を次から次へと捕縛しているようです。


「後方の皆さんは、上手くやっているようですね」

「うむ。それにしても、反撃が手ぬるい。メティドバンの奴のホムンクルスも姿が見えん」


 確かに、ヴラドガリアさんの言う通り。ホムンクルスの姿が無く、反乱軍による反撃は明らかに士気が砕けた手ぬるいものに過ぎず、あっさりと捕縛が成功しすぎています。


「もしや、時間稼ぎやもしれぬ。一刻も早く見つけるべきじゃの」


 ヴラドガリアさんの予想は、つまりメティドバンが反乱軍を囮に、何らかの最終手段、切り札を使う準備をしている可能性を示唆していました。


「そうですね。行きましょう」


 私は頷き、ヴラドガリアさんと共に、砦のより奥深くへと足を進めます。

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