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16 脱出直後




 私達が砦を出ると、そこにはすでにティオ君とティアナさんが居ました。


「おまたせしたようですね」


 私が言うと、二人は首を横に振ります。


「いま来たとこ」

「それに、厄介な敵も来てる」


 二人は言って、砦の上を指差します。

 そこから姿を見せたのは、以前に斥候型とメティドバンさんが呼んでいたホムンクルス。それも十体を超えて無数に姿を見せています。


「貴様らァァァァァッ! 絶対に許さんぞ、人間風情がァッ!」


 ホムンクルスの一体が、怒りに震えるメティドバンさんの声で叫びます。どうやら追撃に来たようです。


「悪いですが、このまま抜け出させてもらいます」

「人間ごときが私を馬鹿にするなァッ! 許さぬ、許さぬぞォッ!」


 怒りからか、メティドバンさんの言葉はどこか支離滅裂でもあります。

 そんな様子を、私は疑問に思います。彼は魔王軍の中でも頭脳派であったと聞きます。しかし、今の様子からするととてもそのようには見えません。

 言葉から察するに、私達が人間であるという事実が彼を狂わせているのでしょう。


「何故、そこまで人間を憎むのですか?」


 私が何となく、ふとそんなことを訊いてみます。すると、メティドバンさんは烈火の如く怒り狂います。


「何故? 何故だと? 貴様ら人間がッ! 我が同胞をキャンディゴブリンと呼び、犯した罪を忘れ、なお何故と問うのかッ! 愚弄するのもいい加減にしろォォオオッ!」


 メティドバンさんはそう言って、私達にめがけて魔法を放ちます。同様に、無数のホムンクルスも一斉射撃を行います。


 この様子では話は出来ませんし、これ以上この場にいるのも危険です。


「皆さん、退避しましょう」


 私が言うと、三人とも頷いてくれます。ホムンクルス軍団の魔法の雨あられを回避しながら私達は砦を離れていきます。


 そんな私達の背中に、メティドバンさんの恨みの叫び声が降りかかります。


「許さぬぞォ! 我が同胞への虐殺の歴史、必ずッ! 必ず貴様ら人間に償わせて見せようぞォォオオッ!」




 砦を離れ、私達は陽動軍と合流します。


「作戦は成功しましたよ、ヴラドガリアさん」


 私はヴラドガリアさんと合流し、報告します。


「ありとあらゆる物資、施設の破壊をしてきました。挙兵をするにしても、当分は不可能となったはずです」

「分かったのじゃ。では、撤退じゃ!」


 ヴラドガリアさんは、陽動軍に撤退の指示を出します。その言葉に従い、砦前に展開していた軍が下がり始めます。

 合わせて、私達も後退を開始。ヴラドガリアさんと共に、魔王城へと戻ります。


「ところで、ヴラドガリアさん」

「うむ、なんじゃ?」

「メティドバンさんと交戦し、少しだけ話を聞きましたが。彼はキャンディゴブリン、という言葉を口にしました。どうやら、その言葉が彼の人間への恨みに関するキーワードのようです」


 私が言うと、ヴラドガリアさんは表情を曇らせました。


「何か、知っているのですか?」


 問うと、ヴラドガリアさんは頷きます。


「奴に関しては、昔から色々噂があったのじゃ。その一つが、そのキャンディゴブリンという言葉、いや、蔑称に関係している」


 そう言って、ヴラドガリアさんは詳細について語り始めました。

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