表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
256/366

38 責任、再び




「雄一様。私もさすがに擁護できません。難儀な相手だったとはいえ、ちゃんと真摯に話し合うべきだったのでは?」

「おっしゃるとおりです」


 マリアさんに言われ、何の反論も出来ずに項垂れます。


「ねぇ、八色ねえちゃんはダーリンとずっと昔から知り合いだったんだろ?」

「え、はい、そうです」

「それってどれぐらい前から?」

「えっとそれは、私たちのクラスが勇者として召喚される前からです。召喚された後も、できるだけ早く自由な時間を作って愛しの人へ会いに行きました」

「そっか。じゃあ、俺たちよりも八色ねえちゃんの方が、ダーリンとの付き合いは長いんだな」


 ジョアンさんは、どうやら七竈さんと打ち解けようとしている様子。


「はぁ。まったく、心配して損しました。こういう人が居るのなら先に言っておいて欲しかったです」

「すみませんでした」


 シャーリーさんも、少し怒っている様子。本気で怒っているわけではないように見えるのが、せめてもの救いです。


「しかし、こうなれば雄一殿の安全とはまた別の問題が出てきたぞ」

「ん。マルクリーヌさんもそう思う?」


 有咲とマルクリーヌさんが、意見を交わし合います。


「ああ。結局雄一殿は、八色殿をどのように扱うつもりなのだ? それが定まらないことには、私達の立場も定まらない」

「そうだよな。排除するべきなのか、それとも受け入れてあげるべきなのか。それを決めるのはアタシらじゃなくて雄一だから」


 言って、有咲は私の方を睨みます。


「で。そこんとこどうすんの?」

「どうする、とは」

「あー、もうっ! 責任取るつもりあるのかって言ってんの!」


 有咲は言って、七竈さんを抱きしめます。


「だって、可哀想でしょ! 今まで都合のいいように使われて、放置されてさ。そんなのアタシだったら泣くだけじゃ収まんないしっ!」

「あの、いえ、別に私は、どのように使い捨てられても、愛しの人の判断であれば幸せですから」

「ほらっ! こんなこと言っちゃうぐらい尽くしてくれてんだよ! 責任感じないの?」

「そ、それは」


 言われるほどに、罪悪感が湧き上がってきます。


「時に八色殿。近年は雄一殿の為に、どのような活動をしていたのだ?」

「ええと、基本は愛しの人を眺める毎日でしたけど。時々、愛しの人を狙う何者かが現れたりしていたので、そういうのの対処をしてました」

「やはりな。となると、相応の危険もあったのでは?」

「いえ、その、何度か毒で身動きが取れなくなったことがあったぐらいで、死ぬようなことは」

「いや、それは十分死に直結する危険なのだが」


 マルクリーヌさんが、七竈さんがどのような献身を続けてきたのか、具体的に聞き出します。その結果、私にはさらに強く罪悪感が湧き上がってきます。

 確かに言われてみれば、私の持つ権力の割に、そうした暗部から狙われることが極めて少ないとは思っていましたが。


 まさか、七竈さんが対処してくれていたからだとは思ってもみませんでした。


「ほらね。八色ちゃんは雄一にこんだけ尽くしてくれてるんだよ。なのに雄一は、ストーカーされてたってだけで責任取らないつもり?」

「いや、あの。ストーカーされていたというのはけっこう大きな要因だと思うんだが」

「八色ちゃんが尽くしてくれた分と相殺出来るほど?」

「うっ」


 命がけで私を守ってくれていたことを鑑みれば、ストーカー被害など些細、とは言えませんが大きな問題ではないでしょう。


「さあ。どうするのだ、雄一殿?」

「ねえダーリン。八色ねえちゃん、可哀想だよ」

「そうですね。雄一様、ここは男を見せて下さい」

「雄一さんがスケベなのは、今に始まった話じゃないですしね」

「うん。だからこそ、アタシたちはこうして仲良く手を取り合っていられるんだし。今さら嫁が増えることに、アタシらが文句を言ったりはしないよ」


 五人の妻たちが、それぞれ私に向かって詰め寄ってきます。


「で、雄一。結局どうするの?」


 ずいっ、と有咲が私の眼前まで詰め寄ってきます。

 これは、観念すべきでしょう。


「責任を、取らせていただきます」


 こうして魔王軍との戦いをきっかけに、なぜか六人目の妻を迎えることとなるのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンガよもんが様にてコミカライズ連載中!
6mhv82sb21f83lsdkkow3af4fucd_1bmn_28e_35p_nrgt.jpg

マンガよもんが様へのリンクはこちら

小説家になろう 勝手にランキング
ツギクルバナーcont_access.php?citi_cont_id=602222539&s


☆Narrative Worksの新連載!☆

異世界チーレム転生できたけど、ヒロインが全員ギャグ漫画の世界の登場人物なんだが?
著者:亦塗☆さくらんぼ



☆Narrative Worksの連載作品一覧☆

無能は不要と言われ『時計使い』の僕は職人ギルドから追い出されるも、ダンジョンの深部で真の力に覚醒する-仕事が回らないから戻れと言われても今更もう遅い、SSS級冒険者として自由に生きていきます-
著者:桜霧琥珀

クラス転移に巻き込まれたコンビニ店員のおっさん、勇者には必要なかった余り物スキルを駆使して最強となるようです。
著者:日浦あやせ

盾持ち令嬢の英雄譚
著者:雨降波近

蒼炎の英雄-異世界に勇者召喚された少年は、スキル『火傷耐性』を駆使して成り上がる-
著者:稲枝遊士

吸血鬼な悪役令嬢に転生した私がSSS級国際指名手配犯となり最強チートスキルで婚約破棄王子や元クラスメイトの勇者などを倒していくお話
著者:稲枝遊士

ツルギの剣
著者:稲枝遊士

ゴブリン・コンバット-異世界のゴブリンに転生したので、地上最強の生物を目指してみようと思う-
著者:殿海黎

池袋ボーイズ(大嘘)
著者:亦塗☆さくらんぼ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ