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29 深淵の魔王




 まさか、一筋の傷を付けるだけで終わるとまでは思っていなかったのでしょう。四人は驚愕を隠せない表情でヴラドガリアさんを見ています。


「これだけ妾を楽しませてくれたのじゃ! 汝らには褒美として、妾の圧倒的なステータスを教えてやろうではないか!」


 ヴラドガリアさんは仰々しく言ってみせます。


「見よ! これが妾のステータスじゃ!」


 そう言った瞬間、ヴラドガリアさんのステータスボードが誰にもはっきり見えるようデカデカと表示されました。



【名前】ヴラドガリア・フォン・エルドラント

【レベル】285


【筋力】SSSS

【魔力】SSSS+

【体力】SSSS

【速力】SSSS


【属性】闇 深淵 空間 闘気


【スキル】吸魔の魔眼



 なんと、勇者である金浜君すら超えるステータス。

 魔力に至ってはSSSS+。これは更に上の段階、伝説上の存在とも言われるファイブエスの直前であるという証拠の表示です。


 ステータスというのは、評価が上がるごとに指数関数的に実際の強さが上昇していきます。

 さらに、高い評価になればなるほど、次の評価に到達するまでの幅が広がっていきます。

 つまりSSSSとSSSS+では、数倍では利かないほどの格差があるのです。


「せっかくじゃから、種明かしをしてやろう。妾が使っていたのは『吸魔の魔眼』というスキルじゃ。書いて字の如く、瞳に映る全ての魔力を『経験値』に変えてしまう。つまり、妾は魔力のあるモノを見ているだけで勝手にレベルが上っていく能力を持っているといえるのう」


 なんと。まさか、自動レベルアップ系のスキルを、私以外の人物が所有しているとは。


「そしてお主らの魔法を解除して見せたのは、あくまでもこの吸魔の魔眼を利用する過程での副産物に過ぎぬ。このスキルの真の力は、魔力を見ただけで経験値に変えることにある。つまり、それ以外の効果に注目したらば、真に燃費の悪いスキルなのじゃよ」

「そ、それはつまり」


 ヴラドガリアさんの言うところが理解できたのか、金浜君が引きつった表情で言います。これにヴラドガリアさんが頷き、答えを返します。


「そうじゃ。つまり妾は、レベリングのスキルをあえて戦闘に使うことによって手加減をしていたのじゃ。そしてこのスキルに費やしていた魔力を戻した状態こそが、妾が最も強い状態。闇を極めし先にある属性、深淵の魔法を闘気と共に纏い戦う、深淵魔闘術こそが、妾の真骨頂よ」


 言うとヴラドガリアさんは、自身の身体に纏った闘気という属性の魔力に加えて、さらに別の属性の魔力を重ねて纏います。

 闇にも似た、より深い黒。恐らくヴラドガリアさんの言っていた、深淵という属性の魔力なのでしょう。


「では! いざ尋常に勝負ッ! これより妾、ヴラドガリア・フォン・エルドラントが深淵の魔王と呼ばれたその力を披露してくれよう!」


 宣言と同時に、ヴラドガリアさんが駆け出します。

 そのスピードはあまりにも早く、金浜君と東堂君でさえ反応できていませんでした。

 当然、その後方に控えていた、後衛の二人については言わずもがな。


「なっ!」

「えっ」


 二人が驚きの声を上げた頃には、すでにヴラドガリアさんが拳を振り上げていました。


「ほっ」


 軽い声と同時に、その拳が振り下ろされました。床を強烈に叩きつけた拳は、その衝撃波だけでも想像を絶する威力となっていました。

 次の瞬間には二人共吹き飛ばされ、壁へと背中から打ち付けられていました。ダメージも大きく、二人は戦闘不能と見なしていいでしょう。


 しかも、衝撃にも魔法にも強いはずの素材で出来た床が、あっさりと大きく陥没しています。こんな破壊状況には、私が全力で攻撃してようやく至る、といったところです。

 それだけ、ヴラドガリアさんの能力が隔絶したものであるという証拠でしょう。


「次はお主らじゃな」


 二人を倒してすぐに、ヴラドガリアさんは金浜君と東堂君の方へ振り返ります。

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