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23 第五関門




 第四関門も突破され、私は魔王軍の皆さんを引き連れ第五関門へと進んでゆきます。

 ちなみにマルクリーヌさんには、二人っきりでデートがしたい、というご褒美をねだられたので、後日要望に応える予定です。


 第四関門までは乙木商事の持つ技術力を見せることが最大の目的だったのですが、この第五関門からは趣旨が変わってきます。

 技術よりも、純粋な戦力の誇示。それが第五関門以降の目的です。


 なので、ここからは目新しい技術こそはありませんが、それこそ戦力としては今までとは比較にならない程の人物が控えています。


「さて、いよいよ後半戦ですね」


 私は第五関門の扉を前に、後ろの魔王軍の皆さんに声をかけます。


「次も吾輩が突破してみせよう」

「うむ、頼むぞレオニスよ。妾の出番は、後になればなるほど有利になるからの」


 意気込みを語るレオニスさんに対して、ヴラドガリアさんは気楽に語ります。


「では行きましょう」


 そう言ってから、私はいよいよ第五関門の扉を開きました。


 中に待っていたのは、とある人物。私にとっては、この世界で唯一師匠と呼べる人。


「いやぁ、ようこそようこそ。待ってたよ魔王軍の皆さん? ボクがこの第五関門を担当する、元宮廷魔術師のシュリヴァだよ。それにしても、ずいぶんボロッボロになっちゃってるねぇ?」


 ニコニコと笑みを浮かべながら煽りの言葉を発したのは、第五関門を担当する小さな魔術師。我が師匠にして、今や乙木商事にて魔導技術顧問という役職を担っているシュリ君です。


「ほう」


 するとここで、急にヴラドガリアさんの視線が鋭くなります。


「こやつ。相当な魔力の持ち主じゃな」

「あ、やっぱり魔王たんには分かっちゃう感じ?」


 シュリ君は言って、笑みを押さえて鋭い視線をヴラドガリアさんに返します。


「ボクとしては、魔王たんの力を見てみたいなー、って思うんだけどね? まあ順番だし? そっちのいちおう強そうな獅子のお兄さんから、さっさと始めたいな」

「吾輩は強い。侮るような言葉は侮辱と見なすぞ」


 シュリ君の煽りが気に障ったらしく、レオニスさんが前に出ます。どうやら、お二人とも早く戦いたい様子。

 ならば望み通り、手早く始めてしまいましょう。


「それでは、第五関門、始めて下さい」


 私が何の準備も整っていないような状態で開始を宣言したことに驚いたのか、レオニスさんはこちらを向いて疑問を投げ掛けてきます。


「いいのか?」

「ええ、かまいませんよ」


 いつでも始めてくれてかまいませんし、何なら不意打ちでもかまいません。

 それこそ、マルクリーヌさんを相手にいい勝負をしていた『程度』の相手であれば何の問題もありません。


 何しろ今のシュリ君は、それこそマルクリーヌさんが百回戦って一度たりとも勝てない程の実力があるのですから。


 私の考えを知ってか知らずか、レオニスさんは何の構えもしていない様子のシュリ君に目掛けて全力で突撃し、拳を振るいます。

 その一撃は確実にシュリ君を捉える、ように見えました。


 ですが、次の瞬間にはガキンッという音と共に、拳が受け止められてしまいます。


「なんだとッ!」


 驚くレオニスさんの拳は、突如現れた『光る魔法陣』によって防がれてしまいました。


「あーあ。つまんないなぁ」


 そう言葉を漏らしたシュリ君の手には、ペン先の『光る羽ペン』が握られています。


「真正面からの突撃。力押しのバカ正直な攻撃。そんなの『断絶』を意味する魔法陣が一つあればあっさり防げちゃうよ」


 そう語るシュリ君の瞳は、興味を失った様子で、それこそまるで路端の石でも見るような視線をレオニスさんに向けていました。


「さっさと退いてくんないかな」


 そして、そう言った次の瞬間には。

 シュリ君は光る羽ペンを使い、空中へと無数の魔法陣を一瞬にして書き上げます。


「『爆ぜろ』」


 そして一言。鍵となる一言と共に。

 レオニスさんの周囲を囲むように、無数の爆発が発生します。

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