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21 獣王の誇り




 このままの状況が続けば、自分が負けるということも分かっているのでしょう。レオニスさんは、いよいよ思い切った行動に出ます。


「そう上手くいくと、思うなよッ!」


 そう叫ぶと、なんとレオニスさんは自らマルクリーヌさんの方へと突っ込んでゆきます。それも、すでに負傷し役に立たない片腕を盾にするようにして。


「その程度ッ!」


 とは言え、この程度の行動であればマルクリーヌさんも想定済みだった様子。さほど慌てた様子も無く、剣でレオニスさんを振り払うようにしながら後退し、距離を取ります。


「ぬぅんッ!」


 ただ、レオニスさんも距離を詰めるのが目的では無かった様子。マルクリーヌさんに当たるはずも無い位置で、拳を勢いよく振り下ろします。

 そのまま拳は床を強く叩き、それと同時に拳に込められた魔力が爆発を起こします。強い衝撃が全方向に向かって発生し、マルクリーヌさんも、レオニスさんも押されて距離を離されます。


 そして、この距離と、時間的な猶予を作るのが狙いだったのでしょう。レオニスさんは即座に腕をクロスさせ、魔力を高めてゆきます。


「見よ、これが獣王の誇りよッ!」


 そう叫ぶレオニスさんの肉体が、みるみるうちに変化してゆきます。より巨大に、より動物的に。

 やがて獅子の頭を持つ人間、といったシルエットを持っていたレオニスさんは、二足歩行する獅子と呼んだ方が良い姿に変化してしまいます。


「させんッ!」


 当然、マルクリーヌさんも黙って見ていたわけではありません。衝撃に崩された体勢を咄嗟に整え、変化するレオニスさんの姿を見た途端に突撃します。

 が、その剣閃を、なんとレオニスさんの尻尾が前に出てきて、あっさりと払い落としてしまいます。


「なにッ!」

「これぞ我が奥義! 一族の秘技、獣王降ろしよッ! 人間よ、貴様を戦士として認め、我が最大の奥義で決着を付けてやろうッ!」

「くっ!」


 悠々と宣言するレオニスさん。それもそのはず。マルクリーヌさんの剣閃は、何度も尻尾だけで防がれているのですから。

 それだけの実力差が生まれている状況に、マルクリーヌさんも焦りを隠せない様子。


 ただ、これだけの自己強化効果がある技ですから、必ずデメリットがあるはずです。例えば制限時間があるとか、自らの体力を大きく削るとか。あるいは、巨大化で速力が低下している可能性もありますが、尻尾の器用さ、素早さから考えてそれは無いでしょう。

 そう考えると、マルクリーヌさんの勝ち筋はレオニスさんの変化が終わるまで耐え抜くことにあります。


 当然、マルクリーヌさんもそれにすぐに気づいたのでしょう。尻尾に迎撃されてしまう剣閃を止め、素早く後退します。


「させぬッ!」


 レオニスさんはそんなマルクリーヌさんを猛追。速力でもマルクリーヌさんに追いついたのか、後退するマルクリーヌさんに肉薄し、拳を繰り出します。


「くっ! これほどとはッ!」


 苦い表情を浮かべながらも、マルクリーヌさんは魔導セイバーで拳を迎え撃ちます。打ち合った拳と魔導セイバーですが、あっさりと魔導セイバーが弾かれ、マルクリーヌさんが体勢を崩します。


「貰ったッ!」

「まだだァッ!」


 当然この機会を逃すはずが無く、レオニスさんは拳を振るいます。そしてマルクリーヌさんはまだ諦めていない様子で、TAに搭載された『とある機能』を起動します。


 次の瞬間、なんとマルクリーヌさんの全身を覆っていたはずのほぼ全てのパーツが弾けるようにパージされたのです。

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