20 トランセンドアーマー
いよいよ第四関門の開始です。マルクリーヌさんとレオニスさんが位置につき、構えます。
レオニスさんは肉弾戦を得意としているのか拳を構え、マルクリーヌさんはTAとケーブルで接続された魔導セイバーを構えます。
TAの補助により、ティオ君やティアナさんの特注品よりもさらに高出力、高性能となった魔導セイバー。その属性はマルクリーヌさんの雷であり、バチバチと青白い電撃が弾けています。
見るだけで威圧されるような、そんな魔導セイバーですが、対するレオニスさんは全く動じず。平常心で、しかし溢れる闘志は隠せない様子で構えています。
二人の準備が整ったと判断し、私は開始の宣言をします。
「それでは。第四関門、始めッ!」
私が言った瞬間から、戦闘は開始されました。
マルクリーヌさんは速度を生かして猛ダッシュ。TAの補助による足元からのジェット効果で、滑るように高速で踏み込みます。
これをレオニスさんは、カウンターするつもりなのかどっしりと待ち構えています。
「ハッ!」
「ぬんッ!」
マルクリーヌさんの魔導セイバーが一閃し、その軌道からレオニスさんが身を捩って回避。そしてレオニスさんは回避しながら、マルクリーヌさんの足元を狙って足払いをかけます。
咄嗟にマルクリーヌさんは軽く飛び上がって回避。これで空中で身動きが取れないと判断したのか、レオニスさんが拳を繰り出します。
速く重い拳でしたが、マルクリーヌさんはこれを足元のジェット効果で空中にありながら後退しつつ受け止めます。
威力を十分に軽減し、マルクリーヌさんはまるでダメージが入っていない様子で飛び下がり、打撃による衝撃をものともせず着地します。
自分の拳が入りきっていなかったことをレオニスさんも分かっていたのか、動揺することもなくマルクリーヌさんを見据えています。
「ふむ。その雷の魔法に、光の筋と見紛うほどの素早い剣閃。お前がかの『雷光』と呼ばれた将兵だったか」
「さあ? そんな名前で呼ばれたことも、あった気がしなくもないな」
じりじりと睨み合いながら、二人は互いに攻め込む機会を伺っています。
私の見立てでは、マルクリーヌさんの方が速力では上。しかしレオニスさんが体力と筋力では上というように見えます。
マルクリーヌさんが速度で圧倒し、レオニスさんを削り切るか。それともレオニスさんがマルクリーヌさんを捉え、TAの防御を貫けるほどの一撃を決めることが出来るか。そういった勝負になりそうです。
膠着状態に入ったかと思いましたが、マルクリーヌさんが先に動き出します。
「ゆくぞッ!」
前方へのダッシュによる、高速移動。先程と同じ展開で、レオニスさんもまた正面からの攻撃に身構えます。
ですが、それは悪手でした。
「何ッ!」
正面からくる、というレオニスさんの想定とは裏腹に、マルクリーヌさんは直前で直角に、減速すらほぼ無しで横に回り込みます。
これこそがTAによる移動補助の真骨頂。足元のジェットによる移動補助に加え、魔力を扱うことによる運動ベクトルの変化。これが合わさることにより、人間では到底不可能な機動が可能となるのです。
想定外の移動により、想定外の方向から攻撃を繰り出すマルクリーヌさん。その魔導セイバーの雷光が、レオニスさんの腕を捕らえます。
「ぐうッ!」
咄嗟に回避を試みたレオニスさんですが、それでも浅くない傷を腕に負い、さらには雷の魔法によるダメージも重なり、片腕の自由が利かない程度の負傷をしてしまいます。
ここを好機と見て、マルクリーヌさんがさらに攻めを継続します。
負傷した腕を盾にするように、横に回り込みながら剣閃を繰り返すマルクリーヌさん。反撃がほぼありえないからこその、大胆な攻めです。
これにはレオニスさんも対応に苦労しているのか、やはり反撃らしい反撃も出来ず防戦一方。回避をするしかなく、時折魔導セイバーが身体を掠め、地道に雷撃によるダメージを蓄積していきます。
さて、このままの展開が続くなら、マルクリーヌさんが勝つでしょうが。
とはいえ、レオニスさんにもサティーラさんのような切り札があるかもしれません。勝負はここから、といったところでしょうか。
一挙連続投稿、五日目終了です。
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