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18 ジョアンのご褒美




 第三関門は、ひとまずジョアンさんの勝利で終わりました。

 しかし、様子を見る限りでは、ジョアンさんにこれ以上戦う余裕は無さそうに見えます。

 それこそ、この後にサティーラさんよりも格上であるはずのレオニスさんと戦うのは酷でしょう。


 私は観戦していた魔王軍の皆さんへと近寄り、提案します。


「皆さん。第三関門はひとまずジョアンさんの勝利という形で終わりました。ですが、次の勝負をしても勝敗は分かりきっています。ですので、ここは魔王軍側の不戦勝という形で第三関門を突破したということにして頂けないでしょうか?」

「ふむ。悪くない提案ではあるがの?」


 私の提案にヴラドガリアさんは肯定的な言葉を発して、すぐにレオニスさんの方へと視線を向けます。


「しかし、次はレオニスの番であろう? 妾はともかく、レオニスは強者を相手に戦いたいのじゃろう?」

「うむ、魔王様の仰るとおりだ」


 レオニスさんは頷いて肯定し、しかしすぐに言葉を続けます。


「だが、弱りきった相手を叩くのもつまらぬ。ここは提案を飲ませてもらおう」

「と、いうことじゃ乙木殿」

「ええ、ありがとうございます」


 話もまとまり、続いて私はジョアンさんとサティーラさんの方へと向かいます。


「お疲れさまです、ジョアンさん」

「俺頑張ったよ、ダーリン!」


 疲れ切っていたはずなのに、ジョアンさんは飛び上がるような勢いで私へと抱きついて来ます。


「へへ。俺、ちゃんと勝ったんだから、とびっきりのご褒美をお願いしてもいいんだよね?」

「そうですね。出来る範囲でなら、なんでも構いませんよ」

「それじゃあ、えっとね」


 もじもじ、と恥ずかしそうにしながら、ジョアンさんは望むご褒美の内容を言います。


「そろそろ、子どもが欲しいかな、って」


 ジョアンさんの言葉に、私は一瞬固まってしまいます。

 現在、私は妻たち全員と関係を持っています。ですが、妊娠はしないように避妊はしっかりとしています。


 未だに私のやらなければいけない仕事は多く、情勢も安定していません。この状況で子どもを作ってしまうと、育児に参加できないばかりか、何らかの危険にさらされる可能性も否定できません。


 ただ、少なくとも魔王軍との関係に決着が付いた後であれば、話は変わってくるでしょう。

 とは言え、避妊に使っている魔法薬は男性側が飲んで作用するタイプのものです。服用をやめてしまうと、ジョアンさん以外の妻全員にも影響があります。


「わかりました。その件については、前向きに考えますので。また後で、みんなで話しましょう」

「うん、分かったよ。待ってるからな、ダーリン!」


 幸せそうな笑みを零しながら、ジョアンさんは私の頬にキスをしました。

 そんなこんなをしていると、意識を失っていた様子のサティーラさんの身体がぴくりと動くのが見えました。


「ぐ、この状況は」


 呻きながら身体を起こし、周囲の状況を確認するサティーラさん。


「そうか、私が負けたのだな」

「ええ。ですが、ほぼ互角の勝負でした。結果的に第三関門を突破していますよ」


 私が慰めるように言うと、サティーラさんは鼻を鳴らして言い返してきます。


「ふん。貴様にフォローしてもらう必要は無い。私は魔王様の為に全力を尽くす、それだけだ」


 なにはともあれ、これで第三関門は終了です。

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