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15 第三関門




 第二関門を突破した魔王軍の皆さんを連れ、私は続く第三関門へと向かいます。


「しかし、乙木殿よ。汝らの使う魔道具は面妖ながら面白いものが多いのう」

「我が乙木商事の技術の粋を集めて作った魔道具です。第二関門で二人が使っていた魔導セイバーや対魔法バリアは、量産型のものを指揮官クラスの者には装備させています」

「ほう、ではお主らの軍は指揮官クラスであれほどの実力があると?」

「あの二人は特別ですから。もう二段か三段は劣る程度と考えていただく方が正確ですね」


 私は道中、ヴラドガリアさんと魔道具や乙木商事の兵力についての話をしながら歩いていきます。

 サティーラさんはそんな私を不服そうに睨みながらも、第二関門を圧倒できたことで機嫌がいいのか、文句は言わない様子。

 そしてレオニスさんは仏頂面で、何を考えているのか読み取れません。退屈そうにしている、という程度のことは分かるのですが。


 さらに後ろに続くエリート兵であったはずの天使たちは、顔を真っ青にして緊張した様子でついてきます。

 殺さずの契約があるとはいえ、ここは彼らをあっさり殺せるほどの実力者が数多く存在する敵地のど真ん中ですからね。こういった反応になるのも当然でしょう。


 そうこうしているうちに、やがて第三関門に到着します。

 第三関門で待ち構えていたのは、私の妻たちの中の一人。


「おまたせしましたね、ジョアンさん」

「ううん、大丈夫だよ」


 やる気満々といった様子のジョアンさんが、真紅の大剣を抱えた状態で待ち構えていました。


「では魔王軍の皆さんにご紹介します。こちらが第三関門を担当する、ジョアンさん。私の妻たちの中の一人でもあります」


 私が後方へ振り返り、魔王軍の皆さんにジョアンさんを紹介すると、首をかしげてヴラドガリアさんが質問をしてきます。


「ふむ。妻というからには女性なのであろう? なら、何故その者は男性のような名前をしておるのじゃ?」

「いろいろ事情があるのですよ」

「ふむ、そうか。いや、関係のない質問であったな」


 恐らく、ヴラドガリアさんはジョアンさんが訳あって男性の名前を付けられた女性なのだろう、と考えているのでしょう。

 実際は逆で、訳あって男性であったジョアン君がジョアンさんに変わったのですが。


「それよりも、今度の関門は一人で大丈夫なのか?」


 次に質問をしてきたのは、自信満々の様子のサティーラさん。ティアナさんとティオ君を突破出来て気分がいいのでしょう。


「問題有りませんよ。彼女は、我が乙木商事の中でも屈指の実力者。警備部門の総括でもあり、軍で言うならば将軍、総大将のような立ち位置の人物です」


 ちなみに、ティオ君とティアナさんは乙木商事が契約している冒険者達の総括をしています。実力的には、二人が合わさってようやくジョアン君と戦える程度。

 さらに、今回はジョアン君専用の特別な乙木商事製の魔剣を渡してあります。サティーラさんの本気と比べてどちらが勝つのかは分かりませんが、すぐに負けるようなことはありえないでしょう。


「ふん。何にせよ、今回も瞬殺してくれる」


 言って、サティーラさんは指輪を外します。途端に闇の魔力が翼を包み、黒翼へと変貌します。

 そんなサティーラさんを見て、準備が整ったことを悟ったのでしょう。ジョアンさんはニヤリと好戦的な笑みを浮かべて、真紅の魔剣を構えます。


「そんじゃあ、いい勝負しようぜ!」

「出来るものなら、な」


 挑発するようなサティーラさんの態度にも、ジョアンさんは何も気にした様子がありません。これから起こる戦いに集中しきっているのでしょう。


「それでは、第三関門、開始ッ!」


 私の宣言と同時に、いよいよ二人の戦いが始まります。

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