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09 連戦




 自慢のエリート兵士達があっけなくやられてしまったのを見て、サティーラさんが悔しそうにしています。

 いえ、むしろこれはブチギレている、とでも言うべき状態でしょう。


「今すぐ戻りなさいッ! この恥晒し共ッ!」


 サティーラさんに感情的に怒鳴りつけられ、満身創痍の兵士達は必死に戻ろうと動き始めます。

 ボロボロのまま動こうとする兵士達を見て、鈴原さんが動きます。


「ああ、ちょっと待ってください。今回復しますから」


 そう言って、鈴原さんは負傷した兵士たち全体にスキル『完全回復』を発動しました。

 すると、肉体的なダメージはもちろんのこと、武器や防具の損傷までもが戦う前の状態まで戻ってゆきます。


 これが『完全回復』スキルの効果です。体力だけではなく、武器や防具の損傷までも回復する効果があります。

 さらには、肉体の治癒に関しては欠損した状態からでも治癒が可能です。

 その分、魔力の消費も激しいスキルなのですが、現在の鈴原さんのステータスは以下のとおり。



【名前】鈴原歩美

【レベル】44


【筋力】B

【魔力】A

【体力】B

【速力】C


【属性】治癒


【スキル】完全回復



 表記上はAであるものの、かなりSに近いAらしく、鈴原さんの魔力はまだ余裕があります。

 そして、鈴原さんは自身に『完全回復』を使うことで高負荷の体力トレーニングを続けられるので、その恩恵もあり筋力と体力も高めです。

 実際、敵に接近された場合は杖を使っての肉弾戦もこなすようです。


 そうこうしているうちに、兵士たちの治療も終わります。兵士たちは気まずい表情を浮かべながら、サティーラさんの方へと戻っていきます。

 そして戻ってきた一同に鋭い視線を向けながら、サティーラさんは言います。


「貴様らが、こんなにも出来ない奴らだとは思わなかった。次は私が出る、ここで見ていなさいッ!」


 そうやって怒鳴りつけた後、サティーラさんが前へ出ます。

 どうやら、第一関門の第二回戦はサティーラさんが挑戦するようです。


「悪いが、貴様らが調子に乗っていられるのはここまでだ」


 サティーラさんは挑発するかのように、勇なる翼に向けて言い放ちます。


「そうかしら? 私はこのまま、全員倒しちゃうぐらいのつもりだけれど?」

「フフ、我が愛銃のブラッディソウルも十分に銃身を休ませた。今すぐにでも戦えるぜ」


 挑発に受け応えたのは仁科さんで、それに便乗して調子に乗っているのは真山君。

 ちなみに、真山君の銃は魔法の弾丸を放つものなので熱を放つことはありません。なので銃身が熱で歪むことを警戒する必要は無いのですが、彼は趣味で銃身を休ませています。

 それと、前回は銃の名前は右がフェンリル、左がケルベロスだったはずなのですが。どうやら改名したようですね。

 

「では、続けて第二回戦を始めてもよろしいでしょうか?」

「こっちはいつでもかまわん」

「私たちもオーケーよ」


 私が訊くと、双方共に準備完了していました。


「それでは、続けて第二回戦、開始して下さい!」


 そうして私が開始の宣言をします。

 すると、まず動き出したのはサティーラさん。勇なる翼の五人に向けて手を翳し、魔法を放ちます。


「魔法なら私が!」


 これを見て、前に出たのは仁科さん。盾を構え、サティーラさんの魔法を防ごうとします。

 しかし、これを見てサティーラさんは、嘲笑するような笑みを零しました。


「ふん、無駄だ」


 そう呟いて、サティーラさんは集中させた魔力を一気に解き放ち、光の玉を放ちます。


「『魔法無こ」


 仁科さんは『魔法無効化』スキルを放とうとします。

 が、しかし。その直前で、光の玉は爆発します。


「っきゃあ!」


 その魔法の爆発により生まれた『衝撃』は、魔法そのものではない為に無効化出来ません。体勢を崩し、仁科さんは倒れます。

 そして、サティーラさんの攻撃はこれで終わりではありませんでした。


「降り注げッ!」


 なんと、爆発した光の玉は、さらに小さな無数の光の玉に分裂していたのです。

 それらは高く舞い上がった後、まるで光の雨のように降り注ぎます。


「うわああっ!」


 全く警戒していなかった真山君も含め、勇なる翼は全員がこの攻撃に巻き込まれ、ダメージを受けます。

 いえ、正確には四人だけですね。


 木下さんだけは、最初の光の玉の爆発の段階で離脱していました。

 そして静かにサティーラさんの背後へと周り、短剣を振るいます。


「下らん」


 ですが、サティーラさんはこれにも反応してみせます。あっさりと短剣を素手で弾き飛ばしてしまいました。

 虚しくカラン、と落下音を立てる短剣と、驚愕の表情を浮かべる木下さん。


「そ、そんな」

「この程度の暗殺術、防げずして魔王様の側近など務まるわけが無かろう」


 そう自慢げに語ると、サティーラさんは木下さんの腕を掴み、投げ飛ばしつつ蹴りを加えます。


「うぐっ!」


 吹き飛ばされながらも、木下さんは空中で体勢を整え、着地。

 結果として、攻撃を受けてボロボロの状態の勇なる翼の五人に対し、サティーラさんは全くの無傷、といった状態になってしまいました。


 ここが潮時でしょう。


「そこまでです! 勝者、サティーラさん!」


 私が宣言することで、第一関門の第二回戦は魔王軍側の勝利で終わることとなりました。

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