06 真山正蔵
最初に動き始めたのは真山君でした。
「ハハハハッ! 喰らえ、撃滅のクリムゾンバレットォ!」
ノリノリで宣言しながら二丁拳銃を構え、連射していきます。
横に駆け抜けながらの制圧射撃で、エリート兵士の前衛が一斉に突撃するのを防ぎます。
かつ、弾丸が当たった兵士には確実にダメージも与えます。
なお、真山君の宣言していた撃滅のなんたら、というのは彼が趣味で名付けているだけの技名です。
魔力の弾丸が赤いのも、特に効果があるわけでもなく彼の趣味で赤くなるよう拳銃に細工されています。
そんな真山君ですが、実力は確かなもの。現在のステータスはこういった状態です。
【名前】真山正蔵
【レベル】43
【筋力】B
【魔力】A
【体力】C
【速力】B
【属性】土
【スキル】絶対鑑定
冒険者としてはAランクにも相当する実力であり、実際に活動期間がもう少し長ければAランクの評価が貰える状態です。
そんな真山君の属性は土であり、魔力の弾丸を硬質化させ、さらに威力を上昇させる為に役立っています。
そして、真山君の真骨頂はここからです。
「くそ、あのわけのわからん武器を使う男を狙えッ!」
エリート兵たちのリーダーらしき天使が指示を出し、これに後衛の天使が対応。
真山君を狙い、魔法攻撃を放とうと構えます。
しかし、これに真山君は、まるで全てが分かっていたかのように反応します。
「無駄だね! 我がアブソリュート・ヴィジョンの力の前には無力ぅっ!」
ノリノリで語りながら、天使たちが魔法を発動させようとした瞬間に弾丸を撃ち、妨害します。
そのタイミングは、どれも正にジャスト。誰もがあと少しでも時間があれば攻撃魔法を発動していたのに、というタイミングで妨害を受けています。
これこそ真山君の真骨頂である『絶対鑑定』を利用した攻撃です。
スキル『絶対鑑定』の効果は、あらゆるものを必ず鑑定するというもの。これを利用し、真山君は常に攻撃の予兆を『鑑定』することで、さながら未来視でもしているかのように行動出来るのです。
二丁拳銃という装備も、的確、かつ素早く相手の攻撃の予兆に先制攻撃を加えるのに適しています。
アブソなんちゃらという技名こそ彼が趣味で名付けただけのものであり、少しふざけた調子に見えますが、実力は本物です。
やがて、後衛にも弾丸が分散したことで、一部の前衛が真山君へと近づきます。
「くらえッ!」
「無駄無駄ぁ!」
当然、これも予兆を見切り、簡単に回避してしまいます。
こうして『絶対鑑定』に頼り切っている為に、体力のステータスが伸びていないのが玉に瑕ですが、それ以上の恩恵がある為、接近戦でも真山君の戦闘能力は衰えません。
攻撃を回避した直後、真山君は拳銃を持ったまま相手の剣を弾き、腕を絡めとり、投げて転がしてからその顔面に魔力の弾丸を連射します。
いわゆるガン・カタである、と真山君が称していたこの動き。これがあるので、真山君は拳銃装備でありながら、勇なる翼というパーティの前衛戦力を務めているのです。
しかし、さすがに多勢に無勢。真山君一人では、相手に囲まれ、逃げ場がなくなった段階で『絶対鑑定』の恩恵も無意味なものとなります。
そうした真山君の弱点を補う役割も担っているのが、パーティのタンク役でもある仁科さんです。
真山君が格闘戦を繰り広げた隙を突き、後衛が一斉に魔法攻撃を放ちます。
これをみた真山君は、即座に後退
「仁科、スイッチだッ!」
そして仁科さんを呼び、入れ替わるように仁科さんが前に出ます。
ここからが、仁科さんの独壇場となります。





