25 新戦力
無事、全員に話を通し、了解を得たのもあり。私は四人と正式に入籍し、夫婦関係となりました。
マリアさん、シャーリーさん。そしてマルクリーヌさんに、ジョアン君。
ジョアン君の戸籍を女性に変更するなど、予想外の手続きもありましたが。無事、全員と入籍することが出来ました。
その後は大規模な披露宴の計画を立て、夫婦生活を営むための屋敷の購入に踏み出しました。
金銭的には問題ない為、五人の妻の要望を可能な限り実現できるようにしました。
あらゆる夢の詰まった、理想のお屋敷。その発注も無事終わり、完成は来年になる予定です。
披露宴はそのお屋敷が完成したら、広い庭をつかってやることに決まりました。
王都の大聖堂よりも、そちらでやった方が思い出深いものになるだろう、という意見が過半数を占めたためです。
マルクリーヌさんは大聖堂での挙式を望んでいましたが、話が進むに連れてお屋敷の庭での披露宴も良いものだと理解したのか、納得してくれたようです。
そうして五人との結婚生活についてのあれこれを進めていたある日。ようやく松里家君から連絡がありました。
金浜組の全員と、他にも私のところで働きたいというクラスメイトが見つかったそうです。
全員を連れて話を伺いに向かう、とのことで、それが今日です。
乙木商事の本社代わりとして借りている建物の、会議室として使っている部屋にて。私は有咲、マリアさん、シャーリーさんと一緒に、松里家君達が来るのを待つこととなりました。
「お久しぶりです、乙木さん! 全員あちらこちらに散らばっていたので、少し時間がかかってしまいましたが。どうにか集まりましたよ」
言いながら、会議室には松里家君が最初に入ってきます。その後から、ぞろぞろと少年少女達、そして大人二人が入ってきます。
「いえいえ、全て任せると言ったのはこちらですから。問題ありませんよ」
「そう言っていただけると助かります」
安心したような笑みを浮かべ、松里家君は席に着きます。他の面子も、続々と会議室内の好きな席へと座っていきます。
金浜組の全員が揃い踏みとなりました。
「では、すでに要件についてはご存知かとは思いますが、今一度説明させていただきますね」
言って、私は皆さんに向かって話し始めます。
「私は乙木商事という企業を立ち上げ、今やルーンガルド王国の各地に支店を展開するほどの大企業へと成長させることが出来ました。資産力や、国内での影響力を鑑みて、すでに各有力貴族と比べて勝るとも劣らないほどになったと自負しています」
少々自慢のような話から入ってしまうことになりましたが、本題の前提知識から共有しておかないと、都度説明する羽目になりますからね。先に話してしまいましょう。
「乙木工業、乙木商会、乙木運輸。この三つの子会社を筆頭に、各事業は順調に成長しています。これは我が社で導入した『魔導車』による大量、かつ高速での運送が可能になったこと、この技術を独占していることを理由にしています。なので、将来的にも成長し続ける見込みです」
まさか、そこまでのことになっているとは思っていなかったのでしょう。驚いている子達もいるようです。
「また、ウェインズヴェールとの大口契約を交わしていますので、食品関係、そして農業関係の事業にも今後手を伸ばしていく予定です。すでにある程度の食品生産、販売事業には手を出していますが、これを乙木商会の管轄ではなく、個別の子会社の事業へと分離していく予定です」
例えば、すでにウェインズヴェールの名産品として、トーフの輸出には手を出しています。王都を始めとした各地で流行しており、かなりの売上になっています。
やはり食品関連の需要は大きいのでしょう。なので、今後はそういった方面にも力を入れていきたいのです。
「ですが、一つだけ難しい問題があります。事業を広げていく上で、どうしても避けられない問題。管理職以上の従業員の不足です」
そう、その点が最大の懸念点なのです。





