23 引き続き事情説明
有咲に事情を説明した後は、マリアさん、そしてシャーリーさんへと説明に向かいました。
お二人ともジョアン君の件については驚いていたようですが、特に拒否感も無く受け入れてくれました。
これで無事、ジョアン君も含めての結婚が出来そうです。
そして最後に、マルクリーヌさんへと事情説明に向かいます。
この日、マルクリーヌさんは非番だとのことで、王都にある自分の屋敷にいらっしゃるようです。
なので、私はジョアン君も連れてそちらに向かいました。
マルクリーヌさんは騎士団長という役職もあり、給与も十分なものを得ている為、それなりの大きさのお屋敷に住んでいます。
マルクリーヌさん個人の家であり、住んでいるのはマルクリーヌさん一人だけです。が、屋敷の管理や家事業務を任せる数名のメイドさんを雇っているそうです。
屋敷に向かい、門をくぐると、ちょうど庭の手入れをしていたらしいメイドさんがいたので声を掛けます。
「すみませんが、マルクリーヌさんはご在宅ですか? 自分は乙木という者なのですが、少々お話したいことがありまして伺いました」
「乙木様ですね。少々お待ち下さい、ご主人様にお伝えしてきます」
そう言って、メイドさんは屋敷の中へと入ってゆきます。
その数分後。勢いよく屋敷の扉を開け、マルクリーヌさんが姿を見せました。
「乙木殿! こちらに来てくれたのは初めてだな! 訪ねてきてくれて嬉しいよ!」
「ええ。私もマルクリーヌさんの、騎士姿でない服装を見れて嬉しいですよ」
さすがに普段から騎士の格好をしているわけではないようです。一般的な女性が着るものと同様の服装をしています。が、やはり給料が良いお陰なのか、飾りの刺繍等があちらこちらにあしらわれており、高価そうに見えます。
髪飾りも同様に、まるで貴族の女性が身につけるような派手なものを使っており、良いところのお嬢様のようにしか見えません。
騎士団長だと言われなければ、到底気付くことが出来ないでしょう。
「ん? ところで乙木殿。そちらの女性は?」
「ええ。実は、彼女のことについても話さなければならないことがありまして。ゆっくり話をしたいのですが」
「ああ、分かった。それなら来客室で話を聞こう。ついてきてくれ」
言って、マルクリーヌさんが先導してくれます。私はジョアン君と共に後ろをついて歩きます。
そうして来客室へと案内され、腰を下ろし、ようやく話をする体勢が整いました。
「実はですね」
と言ってから、私は事情説明を開始しました。
ジョアン君の事情から説明すると、マルクリーヌさんはこめかみを押さえ、一言漏らします。
「そういえば、シュリヴァと賢者殿が何やら怪しい研究をしていると噂を聞いていたな。まさか、こんなことをしていたとは」
呆れたような声色で言って、マルクリーヌさんはため息を吐きました。
私は話を続け、いよいよ本題の結婚について。そしてジョアン君のことも認めて欲しいという件についても語りました。
すべてを聞き終えると、マルクリーヌさんは真剣な表情で一度頷き、口を開きます。
「状況は理解した。そして、乙木殿が私や他の内縁の奥方にも筋を通そうとしていることも理解できる。重婚についても問題は無い。だが、一つだけ、いやいくつか気になる点がある」
「気になる点、ですか。それは何でしょうか」
私が訊くと、マルクリーヌさんはとても真剣な表情で答えます。
「挙式は、どのようにして挙げるのだ?」





