表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/366

20 シュリ君とアレの約束




 シュリ君の頭を少しだけ撫でたら、すぐに話に戻ります。


「で、その収納袋には少しのお金といくらか魔法に使う小道具、それにちょっとしたものが入ってるんだ」

「ちょっとしたものですか」

「うん。待ってね、今取り出すから」


 そう言って、シュリ君は収納袋の中に手を入れて、がざがざと中を探ります。随分手を深く飲み込んでいますが、袋が変形することがありません。腕を動かしても袋は萎んだ形を維持しています。どうやら、本当に特殊な袋のようですね。


「あったあった、これこれ!」


 そしてシュリ君は、一冊の本を取り出しました。表紙には手書きで『付与魔法 記録』と書かれています。それ以外は何もありません。


「これは?」

「ふふふ、聞いて驚くなかれ。これはこのボクが昔付与魔法を研究した時に調べたデータを纏めたノートなのだ!」

「ほうほう」

「ちょっとは驚いて! ねえ、オトギン素直すぎるよ!」

「はあ、でも驚くなかれと言われたものですから」

「言葉のあやってやつだよ!」

「では今後多少驚くように心がけます」


 答えながらも、私はシュリ君から本を受けとって中身に目を通します。確かに、手書きらしい文字で複雑な付与魔法に関する情報がたくさん記載されていました。


「人に見せるつもりで作ったものじゃないから読みづらいかもしれないけど、これから付与魔法を頼りに生きていくオトギンには必要なものかと思ってね。特別にプレゼントするよ」

「いいのですか?」


 研究者の研究結果を、こんなにあっさり渡してしまうのは良くないように思います。


「だから言ったでしょ、オトギンはボクの弟子だって」


 なるほど。つまり、私は弟子という肩書きがあるので問題ない、ということでしょう。

 恐らく、シュリ君は宮廷魔術師ですから研究内容も国の資産の一部です。となれば、情報統制もあるでしょう。迂闊に大事な研究結果を渡すことは出来ないはずです。

 となれば、弟子という肩書きも必要なものになるのでしょう。


 しかし、こんな私の為に大切な研究結果を一部分とはいえ渡してくれるなんて。シュリ君には、何とお礼を言えばいいのか分かりません。


「ありがとうございます、シュリ君。本当にお世話になってばかりで、お返しできないのが申し訳ないです」

「そう。だったらさ、一つお願いがあるんだけど」


 シュリ君が顔を赤らめながら言います。


「何でしょう?」

「そ、そのぉ。ほら。オトギンって童貞って言ってたでしょ? も、もしその気があったらさ。よかったらボクと、そういうことしてくれないかなぁ、って? 思ったり? する感じだったり?」

「いいのですか? それは私にとってご褒美になりますが」


 前のめりに訊いてしまいます。シュリ君はどう見ても美少女にしか見えないお爺さんです。となれば、私としては性行為に及ぶのもやぶさかではありません。童貞の歪んだ性欲を舐めてもらっては困ります。


「も、もちろんボクとしては、オトギンが嫌じゃなければ、なんだけど」

「嫌なわけありません。童貞を舐めてるんですか?」

「なんか変に自信あるね、オトギン。でも、嬉しいよ! ボクを最初っから受け入れてくれる人なんて、初めてだから」


 顔を真赤にして照れるシュリ君。可愛らしいですね。お爺さんだということをつい忘れてしまいます。


「じゃあ、オトギン。またいつか、ボクの心の準備ができたら、ボクのお尻でオトギンの童貞を捨ててくれるかな?」

「もちろんです」


 前のめりに即答します。


「ありがとう、オトギン! 約束だからね!」

「はい、約束します」


 それが、最後の会話となりました。シュリ君は嬉しそうな笑顔を浮かべて、王宮の方へと戻っていきます。


「うへへ、三十五年モノのダメそうなおっさんの童貞。じゅるり」


 シュリ君が何かを言いながら立ち去っていきましたが、残念ながらよく聞こえませんでした。



 さて。シュリ君から素晴らしい餞別も頂きました。童貞を捨てる予約まで出来てしまいました。幸先が良い、順風満帆とはこのことですね。

 私は気分良く、王宮から追放されて城下町へと歩いていくのでした。

本日の連続投稿分はここまでで終了です。

変態ショタジジイ、シュリヴァ君はいかがでしたでしょうか?


ちなみに、メインヒロインではありません。

サブヒロインです。


少年が性的に好きな私の友達の皆さんは、ぜひブックマークや評価の方をして頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンガよもんが様にてコミカライズ連載中!
6mhv82sb21f83lsdkkow3af4fucd_1bmn_28e_35p_nrgt.jpg

マンガよもんが様へのリンクはこちら

小説家になろう 勝手にランキング
ツギクルバナーcont_access.php?citi_cont_id=602222539&s


☆Narrative Worksの新連載!☆

異世界チーレム転生できたけど、ヒロインが全員ギャグ漫画の世界の登場人物なんだが?
著者:亦塗☆さくらんぼ



☆Narrative Worksの連載作品一覧☆

無能は不要と言われ『時計使い』の僕は職人ギルドから追い出されるも、ダンジョンの深部で真の力に覚醒する-仕事が回らないから戻れと言われても今更もう遅い、SSS級冒険者として自由に生きていきます-
著者:桜霧琥珀

クラス転移に巻き込まれたコンビニ店員のおっさん、勇者には必要なかった余り物スキルを駆使して最強となるようです。
著者:日浦あやせ

盾持ち令嬢の英雄譚
著者:雨降波近

蒼炎の英雄-異世界に勇者召喚された少年は、スキル『火傷耐性』を駆使して成り上がる-
著者:稲枝遊士

吸血鬼な悪役令嬢に転生した私がSSS級国際指名手配犯となり最強チートスキルで婚約破棄王子や元クラスメイトの勇者などを倒していくお話
著者:稲枝遊士

ツルギの剣
著者:稲枝遊士

ゴブリン・コンバット-異世界のゴブリンに転生したので、地上最強の生物を目指してみようと思う-
著者:殿海黎

池袋ボーイズ(大嘘)
著者:亦塗☆さくらんぼ
― 新着の感想 ―
サブでも【ヒロイン】である。
オトギン……精神の一部捻くれ曲がってねじ切れてない?
[良い点] ありふれたクラス転移にコンビニ店員を登場させた設定が面白く、人物描写や世界観もよくできていると思いました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ