02 夜勤のつらいところ
やがて二十二時になると、夜勤の子が来ます。二十代のフリーターの子です。彼と一緒に、朝までに数々の仕事を終わらせます。店中の商品の在庫を出して、棚に詰めていきます。後ろに詰める作業は見た目よりも手間がかかります。隣の商品と距離が近いので、一度全てを出さないと奥に入れられないのです。
そして日付が変わる頃になると、客入りが減ります。そうなると清掃作業です。フライヤー、肉まん、おでん。それぞれの機材を順に洗っていきます。
これが終わればウォークイン。ドリンクの補充です。だいたい四十個ほど、ダンボールでドリンクの在庫が入ります。これを全て開封し、減っている場所に補充して、余りは棚に並べて保管します。
この作業が、だいたい二十分ほどで終わらせねばなりません。
それ以上かかると、レジが忙しくなってお客さんが並び、クレームになるからです。
重いダンボールを急いで運び、開封し、補充して棚に戻す。これを一つ三十秒で終わらせる計算になります。
慣れないうちは一時間は掛けていましたが、今ではしっかり二十分で終わらせられます。
ただ、この作業のせいで身体を痛めるので、生活に鎮痛剤が欠かせませんね。
補充作業が終われば、また商品の補充です。深夜に搬入される商品を棚に並べ、余ったものを在庫に片付けます。
在庫は朝昼夕方の勤務の人が好き放題に出し、好き放題に戻すので荒れ放題です。これを整理し直すのも夜勤の仕事。
散らかっていると、オーナーや店長から文句を言われますからね。
一通り終われば、床やトイレの清掃が入ります。お客さんがいない時間を見計らい、さっと床をモップがけします。お客さんの前で掃除をすると、すぐにクレームになりますからね。掃除道具を見える場所に置いていてもクレームです。
店内の清掃が終われば店外。駐車場や、店周辺の清掃です。この時間は、休憩を取らなければならないので一人で店を回すことになります。当然、レジを見ながら。
レジを見ながら店の外を清掃しなければなりません。矛盾しているので、お客さんが来るとそれだけで仕事が滞る時間ですね。なので滞ることを前提に、気合を入れて急いで清掃せねばなりません。店周辺のタイルのモップがけなどは、腰が痛いぐらいのペースで磨きます。
このタイミングでまた鎮痛剤のお世話になります。
そして清掃が終われば、冷凍食品が配送されてきます。大量の冷凍食品は、溶けると困るので急いで片付けねばなりません。
そして片付ける場所は、商品棚の下です。お客さんは上から取るので、新しいものは下に詰めなければなりません。
腰をかがめて前のめりの姿勢で、大量の冷凍食品をすばやく取り出し、すばやく新しいものを下に詰め、すばやく戻します。この作業のお蔭で、また腰が痛くなります。
また鎮痛剤のお世話になります。
そうして朝が来ます。朝はおでん、肉まん、フライヤーの仕込みがあります。一番楽な時間です。レジをするだけでいい時間ですからね。
朝八時になると、夜勤の終わりです。
「お疲れ様でした~」
夜勤のフリーターの子は先に帰ります。が、僕はまだ帰れません。
まずは休憩時間を消化しつつ、シフト組みの続きです。夜勤の休憩時間は四十五分。そして今日の僕はシフトが埋まらなかった分、昼まで勤務が続くのでさらに十五分の休憩時間があります。
合計一時間、事務所に籠もってシフトと睨み合います。
そしてシフトが完成したら、休憩が終わってなくてもレジに出ます。この時間は、本当は二人回しの時間ですからね。休憩を消化していたら仕事になりません。
そうしてレジをしていたら、昼の配送です。お弁当など鮮度が重要なものが運ばれてきます。
これの品出しをしながら、レジをしていたら気づけば十一時。ようやく仕事の終わりです。
しかし、ここでトラブルが発生。昼勤務の大学生の子が遅刻です。電話にも出ません。恐らく寝坊か、学校の急な用事で拘束されているのでしょう。
仕方がないので、僕は続けて出勤することになります。
もちろん、タイムカードは切っています。勝手に残業をつけると、オーナーがくどくど文句を言いますからね。