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05 最強のおっさんとギャル




 有咲のお腹に魔法陣を書き終われば、次は私の番です。鏡を見ながら慎重に書き上げます。


 それも終わると、いよいよ魔法陣の起動です。


「後は、お互いの魔法陣に触れて、魔力を流すだけだ。そうすれば、魂に魔法陣が焼き付き、俺と有咲の間で常に付与魔法が発動し続けているような状態になる」

「うん、分かった。この魔法陣は、終わったら消していいんだよな?」

「ああ。魔法陣はちゃんと魂の方に焼き付いて残る。肌に書いたインクは洗い流しても問題ないよ」


 説明も終わり、私と有咲は顔を見合わせ、頷き合います。


「よし、始めよう」

「うん」


 私と有咲は、互いのお腹に描かれた魔法陣に手を添えます。そして魔力を流し込み始めます。


 すると、魔法陣が光を放ち始めます。互いのお腹が光を放ち、その光は少しずつ、身体の中に浸透していくように消えてゆきます。

 そうして、光が完全に消えると、スキル共有は完了しました。


「すごい」


 有咲が、まず最初に呟きます。


「雄一のこと、すごく近くに感じる。雄一が、分かる。触ってないのに、触ってるみたいな、胸の内側が温かいみたいな、不思議な感じだ」


 幸せそうに、微笑みながら言います。実際、私も有咲と同じような感覚を覚えています。どうやら、無事スキル共有は成功したようです。


「成功したみたいだな」

「うん。これで、雄一もアタシと同じスキル、カルキュレイターが使えるようになったんだよな?」

「ああ。それに、有咲も俺の持っているスキルを使えるようになったはずだ」

「え、それマジっ?」


 有咲は途端に目を輝かせ、興奮した様子で聞き返してきます。


「じゃあ、雄一がこないだの決闘とかでも使ってた、あの黒くてやべー感じのやつとかもアタシが使えるようになったのかっ?」

「あー、それは使えるとは思うけど、ただあのスキルは自分自身にも悪影響があるからな。有咲は自分自身に耐性がついているわけじゃないから、使うと自分を傷つけることになるはずだよ。だから、使っちゃ駄目だ」

「え~、そっかぁ、使えないかぁ」


 心底残念そうに、有咲は項垂れます。どうやら、本当に私のスキル『詛泥』やその他諸々のスキルを格好いいと思っているようですね。

 本人に自覚は無いようですが、有咲には若干ですが厨二病のきらいがあるのかもしれません。


「なら、なに使おっかな。えっと、そんじゃあ『保湿』!」


 有咲がスキル『保湿』を使った途端、お肌がぷるぷるしっとりした艶のある肌に変わりました。


「うわ、これ最強じゃん。女子が無敵になれるスキルだ」


 どうやら喜んでいる様子なので、無事私のスキルの共有は成功したものと考えて良いでしょう。

 さて、次は有咲のスキル『カルキュレイター』を私が使う番です。


「それじゃあ有咲、次は俺がカルキュレイターを使うから、もしも何かあった時の為に、構えていてくれないか?」

「あ、おっけ。分かった。任せな!」


 有咲は自信たっぷりに、力こぶをつくるようなポーズを取って言います。


「よし、じゃあ早速」


 そして、私はカルキュレイターを発動するよう意識します。


 すると、途端に、情報が一気に流れ込んできます。

 かつて付与魔法を使った時のような負担もありません。ちゃんと私の脳が、カルキュレイターの導き出した解を受け止めて記憶してくれます。


 そして同時に、私は有咲の方を見ます。

 有咲もまた、私の方を見ていました。

 二人して、かなり驚いたような表情をしています。


「まさか、こんなことになるとは」

「うん」


 私と有咲は、そう言い合って頷きます。


 なぜなら。

 カルキュレイターを使用したと同時に、私の考えていたこと、私の導き出した解が有咲の方にも流れ込んだから。

 そして同様に、有咲の考えや導き出した解も、私の方へと流れ込んできました。


 つまり、スキル共有をした状態でカルキュレイターを発動すると、お互いの思考もまた、ダイレクトに共有可能だったのです。

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