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23 工場建設、開始




 マルクリーヌさんと会った翌日。私はさっそく、工場建設の為に貰った土地の方へと向かいます。

 全体を見て回りましたが、やはり整備はされておらず、荒れ放題です。ただ、荒れ放題すぎて浮浪者のようなものやその住処らしい場所も見かけなかったので、そういう意味では幸運でした。


 工場を建てるにしても、まずは整地をしなければなりません。が、それに関しては私一人では終わらない作業です。孤児院の子どもたちや冒険者の知り合いを雇おうと思っています。

 が、それにはまず土地の安全を確保しなければなりません。


 というわけで、私が最初に取り掛かるべきなのは、土地を守る為の防壁の建設です。

 すぐさま作業に取り掛かりましょう。


 まずは、スキル『鉄血』で蓄えた膨大な金属資源を使います。好きな形で金属を取り出せるので、最初から組み上がった状態の鉄骨を生み出していきます。

 細かい部分に関しては知識が無いので、脆くならないように注意する必要があります。と言っても、高層建築をするわけでもありませんから、鉄骨同士を一つに繋げ、さらに鉄で補強するという力技しか使えないのですが。


 そうして、土地をぐるりと一回りするように鉄骨を組み上げるのに三日間。かなりの手間でしたが、普通に鉄骨を組み上げるよりは遥かに楽でした。スキルを使えば目の前に一瞬で鉄骨が組み上がるのですから、当然と言えば当然の結果です。


 次に、壁を構成する素材を用意します。


 ちょうど、この土地には荒れ果て乾燥した大量の土があります。これにとあるスキルを使うことで、疑似コンクリートを用意します。

 その為に、大量の土を集めていきます。ドラム缶のようなものを鉄血スキルで生み出し、その中に土を詰めていきます。


 この作業がけっこう大変でした。最初の二日間は自分だけでやっていましたが、いつまで経っても必要な量が集まら無さそうだったので、店の方から何人か協力を要請し、連れてきました。


 そうして土を集めること十日間。今日は有咲さん、シャーリーさん、マリアさんの三人が手伝いに来ています。他にも数名の従業員を引っ張ってきているので、お店の方が大変なことになっていそうですね。

 三人を一度に集めるつもりは無かったのですが、今日で土集め作業が終わりそうだと告げると、こうなってしまいました。


「おつかれ、おっさん!」


 有咲さんが真っ先に私を労ってくれます。シャーリーさんとマリアさんも、こちらに歩み寄ってきて笑いかけてくれます。


「こんなに沢山の土を集めて、何を作るんですか?」

「それは、これからお見せしますよ」


 シャーリーさんの疑問に答える為、私はドラム缶の一つに近寄ります。中には砂が四分の三ほど詰まっており、まだいくらか別の物質を投入する余裕があります。


「もしかして、乙木様の持つ不思議なスキルでこの土を加工するのでしょうか?」

「はい、正解です」


 マリアさんの指摘は、見事に的中していました。


 私はドラム缶の中を覗き込みながら、とあるスキルを発動させます。


 そのスキルの名前は『粘着液』。


 スキルを発動した途端、私の口から大量の粘着液が溢れます。さながらマーライオンのように、私は口から粘着液を吐き出し続けます。

 そしてドラム缶が一杯になったところで、スキルを停止。粘着液が口から吹き出ることはなくなります。


 次に、私は素早く鉄血スキルで金属の棒を生み出します。粘着液と土を混ぜ合わせるためです。混ぜれば混ぜるほど無色の粘着液が濁り、ドロドロに変わっていきます。

 そうして、少し黄色っぽい以外はまるでコンクリートそのもの、と言える物体が完成します。


「よし」

「よし、じゃねーんだよ! きめえんだよおっさんさぁ! 言ったよな、アタシ。それまじキモいからやめろって!」


 達成感に浸り、つい零した一言が有咲さんの逆鱗に触れてしまったようです。


「あの、乙木様。今のはいったい、何だったのですか?」

「スキル『粘着液』です。唾液ではないので安心してください」

「は、はぁ」


 マリアさんも引き気味なようです。やはり口から出るという印象が良くないのでしょう。しかし、粘着液は粘膜がある場所からしか発生させることが出来ないのです。鼻の穴から吹き出すよりはマシですし、一度に吐き出せる量も多い。効率上、仕方のないことなのです。


「なるほど。アラクネモドキの粘着液と同じものですね、これ。確かに、それとこの辺りの粒子の細かい土を混ぜ合わせれば、乾いた時にかなり頑丈な壁が出来そうですね」

「おぉ、分かって頂けますか」


 どうやらシャーリーさんは、粘着液のビジュアル面より、その性能と使用方法に興味を惹かれているようです。お蔭でキモがられなくて済みます。


「まあ、私も美樹本さんやマリアさんと同じくらいドン引きしてますけど。でも、元ギルドの受付嬢としては興味深いです」


 おや。ダメだったみたいですね。


 ちなみに、私の粘着液はシャーリーさんの言うアラクネモドキよりも上位の魔物が発動させるものと同じだけの効果があります。なので、強度については想像を絶するものになるでしょう。言わば強化コンクリのようなものです。

発売日が近づいてまいりましたので、再び宣伝をさせて頂きます。



当作品『クラス転移に巻き込まれたコンビニ店員のおっさん、勇者には必要なかった余り物スキルを駆使して最強となるようです。』ですが、


10月5日にBKブックス様にて書籍化いたします。


挿絵(By みてみん)


こちらが書影になります。

また、表紙イラストはイラストレーターの『鱈』様が担当してくださいました。


アニメイト様、とらのあな様、メロンブックス様ではそれぞれ特典SSが付く予定です。

また、その他の一部書店様でも共通特典SSがもらえる場合があります。

電子書籍には専用の特典SSが収録されています。


小説本文の方にも、新たな書き下ろしエピソードが追加されています。

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― 新着の感想 ―
それはただのゲロなのでは?
[良い点] 口から大量の粘着液… こうして見ると、やはり「異世界転移者は人間ではない」という研究結果が補強されてしまうな。 そもそも魔王四天王ですら「人間が魔物のスキルを使えるわけがない!」と断言…
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