19 弟子と弟子の約束
長らくお待たせいたしました。投稿を再開いたします。
また、告知が一つありますので、後書きまでお付き合い下さるとありがたいです。
「話が終わったなら、本題に入りましょう」
私とシュリ君の話が一段落ついたところで、松里家君が言います。
「本題、ですか? 既にシュリ君には勇者と私の協調を支援してくれるようお願いしたはずですが」
「そうではありません! 乙木さんは、以前に僕と約束してくれたではありませんか!」
約束、と言われて思い出します。
松里家君が女性的だと認識できるようになれば、やることをやってあげるといった内容の話をしました。
その話は食堂で一度遮ったのですが、どうやら忘れていなかったようです。
「さあ、乙木さん。今の僕は十分でしょう? 魅力的でしょう? 生半可な女性よりセクシーで美しいはずです。こんな女性であれば、抱きたくなっても仕方ないと思いませんか?」
「ええと、まあ確かにイケるかどうかで言えばイケるのですが」
私が言うと、松里家君は目を輝かせます。
「ですが、問題は声なんですよ。いざ行為の最中に声が原因で萎えてしまったらと思うと、申し訳なくてですね」
「そ、それは確かに、僕もかなりショックを受けそうですが」
そして私が否定すると、今度は明らかに落胆する松里家君。
「よっし、それならボクがひと肌脱いじゃおうかな!」
そこで、シュリ君が口を挟んできます。
「おお、シュリ君。なにか良い案が?」
「ふっふっふ。単純なことだよ、オトギン。まっつんが魔法でオトギンの認識を誤認させてあげればいいのさ。まっつんの声だけ女性的に聞こえてしまうよう、聴覚を阻害するんだ。そうすれば、してる最中に声が気になることなんて無いに決まってるでしょ?」
「な、なるほど! さすが師匠です!」
松里家君は、神でも崇めるような勢いでシュリ君を褒め称えます。
「では、その方向で行きましょう! 魔法の習得等もありますので、また後日準備が出来た時に乙木さんをお迎えに上がります!」
「分かりました」
「その時は、是非僕を、僕の身体を好きにしてください!」
「た、楽しみにしておきます」
ここまで強く望まれてしまえば、やはり断れません。
そもそも、松里家君の身体はシュリ君とはまた違った女性的魅力にあふれています。腰のくびれ、大きなお尻。非常に抱き甲斐のある身体つきと言えます。
正直、私としても興味津々なのです。
「うむ、よきかなよきかな。弟子と弟子が仲良くしてくれるのはいいことだねぇ」
シュリ君は何度も頷きながら、そう呟きます。
「あの、シュリ君。私としては、複数人と関係を持つのはあまり誠実ではない気がするのですが」
「そんなの今更じゃない?」
言われて思い出し、言葉を失います。そういえば、私は何人もの女性をその気にさせ、三人を愛人として囲っているのでした。世間的には、そういう男なのです。
「うむうむ。どうやら自分でよく分かっているようだねぇ?」
「はい。お恥ずかしい限りです」
「いやいや、へーきだよ。だって、それぐらいの甲斐性が無きゃ、オトギンの方に付く気になんてなれないもん。ね、まっつん?」
「はい、師匠。乙木さんであれば、我々の帰るべき場所を用意してくれます。そうに違いありません!」
何やら私の想定以上に、松里家君から好かれ尊敬されているようです。
実際にはそこまでの能力は無いのですが。まあ、期待されている以上は全力で応えてみせましょう。
前書きにもありました通り、告知があります。
当作品『クラス転移に巻き込まれたコンビニ店員のおっさん、勇者には必要なかった余り物スキルを駆使して最強となるようです。』ですが、
10月5日にBKブックス様にて書籍化いたします。
こちらが表紙イラストになります。
また、表紙イラストはイラストレーターの『鱈』様が担当してくださいました。
アニメイト様、とらのあな様、メロンブックス様ではそれぞれ特典SSが付く予定です。
また、その他の一部書店様でも共通特典SSがもらえる場合があります。
電子書籍には専用の特典SSが収録されています。
小説本文の方にも、新たな書き下ろしエピソードが追加されています。
より良くなるよう、細かい修正も全体的に加えてありますので、是非お手にとってくださいませ。
本文の更新の方も、無理をしない範囲で再開したいと思っております。
以前よりはペースが低下してしまうかと思いますが、どうかこれからもお付き合いお願いいたします。





